五感で感じるスポーツ ……

80年代からほぼ毎年『 F1 Grand Prix in Japan 』を観戦している知人がおります。自らも「 国内A級ライセンス 」を所得しており、若い頃は全国各地のレース(市販車改造クラス)に参戦していた猛者であります。彼のモーター スポーツに関する御意見は極めて客観的であり、自動車に関するセンスも素晴らしいので、私にとっては“最も信用出来るモーター スポーツ情報網”で御座います。

ソノお方曰く「90年代F1は自然吸気エンジンなので、どのチームもエンジン音が美しかったが、特にFerrariのV12サウンドは誠に官能的で、アノ美しい高音が空に消えて行くのを聴くだけで幸せだった。お陰で“また1年間頑張ろう”という気持ちになったのを覚えている。ソレが今はターボ エンジンに加えてハイブリッド システムなので、排気音は小さい上に“まるでブタの鳴き声”だよ。マシン心臓部が“エンジン”ではなく“PU(パワー ユニット)”と呼ばれた時点で、“F1ミュージック”は死んでしまったんじゃないかな。」との御言葉……………

 

そんなお方が“キング オブ F1エンジン サウンド”と絶賛するのが、「 Ferrari 412T2 : 3.0L V12 ( 1995 ) 」であります。

 

最新型Ferrari F1と聴き比べてみると、エンジン サウンドの違いは明らかで御座います。

 

「 Ferrari SF70H : 1.6L V6 ターボ ハイブリッド ( 2017 ) 」

 

自然吸気エンジンの場合、エンジン気筒数(シリンダー数)が増える程に排気音はより大きく、より高音になる傾向があります(管楽器の原理に近し)。対してターボ エンジンは、排気音に独特の“こもり感”がありまして、スロットル オフやシフト ダウンのタイミングによっては、奇妙な“ブヒブヒ音(ブタの鳴き声に近し)”が発生致します。

コノ排気音の違いは、ヴァイオリンで云えば「 ストラディバリウス ( Stradivarius ) 」と「 入門用ヴァイオリン 」以上の違いでありまして、ド素人の私でも“一聞瞭然”で御座います。

 

F1は謂わば世界最高峰の“自動車実験室”であると同時に、多くのエントリー チームが市販車メーカーとの関わりを持つ故に、企業としての“思惑”や“ビジネス戦略”が渦巻いております。つまり諸々の事情をベースとしてレギュレーションが決定されており、よってエンジン サウンドが犠牲になっても致し方ない訳でありますが、モーター スポーツが他スポーツと大きく異なるのは、音や匂いといった“五感に訴える要素”がヒジョーに重要な点であります。

我が国ばかりではなく、自動車先進国の殆どで地上波放送無しという昨今の“F1没落ぶり”を考えた場合、エンジン サウンドというエモーショナルな魅力喪失が、不人気原因の一端を担っているのかも知れません(以下引用)。

 

【 F1、テレビ音声向上のためエキゾーストパイプに装着するマイクを開発中 】( AUTO SPORT web )

F1はテレビ視聴者向けの音声を向上するため、マシンのエキゾーストシステムに装着するマイク装置を開発している。2014年にF1のハイブリッドエンジンが始まって以来、V8やV10エンジンが生み出していたハイピッチで叫ぶようなサウンドは、ターボチャージャー付きパワーユニットの控えめでくぐもった音が取って代わり、グランプリレースの感動の一部も失われてしまった。F1の商業担当取締役を務めるショーン・ブラッチスは、テレビ視聴体験の向上が必要であることを認め、テレビ向けにエンジン音のボリュームを上げる方法を調査していることを明らかにした。( 2017年9月24日 )

 

2016年以降F1の興行権を所有するリバティメディアさんは、TVを中心としたマスメディア系企業でありますので、上記は如何にもリバティメディアさんらしい試みで御座います。コノ試みが即“人気回復”には繋がらなくとも、現行レギュレーション下での可能な変革として評価に値すると考えます。

因みに、リバティメディアCEOであるチェイス キャリーさんは「F1新エンジンのキーワードは“大音量、安価、高性能”である。」と仰っております。安価に関しましては、Mercedes-AMGさんやFerrariさんの様な“資金潤沢チーム”と資金不足チームとの格差是正を目指したモノであり、例えば「 インディカー ( IndyCar ) 」方式のコンポーネント共有を想定していると予想されますが、大音量に関してましては、如何にもTVメディア関連企業としての発想かと……………

但し将来的には、予選システムの簡素化を含めた“ファン ファースト”なシステムが必要不可欠かと思われます。

 

 

ところでFIA(国際自動車連盟)さんは、2018年シーズンよりF1に於いて「 HALO ( コクピット保護デバイス ) 」の導入を義務付けました。

 

 

記憶に新しい事例だけでも、2014年のジュール ビアンキさん(F1)や2015年のジャスティン ウィルソンさん(インディカー)。レース中の“頭部損傷事故”で亡くなったレーシング ドライバーさんは何人もいらっしゃいますので、頭部保護デバイスの導入はむしろ遅過ぎた感が御座います。

しかしながら、世界最高峰“空力デザイン専門家集団”であるF1業界で、もっと“マトモなデザイン”はなかったのでしょーか?……………

 

“五感で感じるモーター スポーツ”としてのF1に、変態オッサンが望むキーワードは“高音質エンジン”並びに“美ボディー デザイン”であります(以下2点は「 Ferrari F1 Concept Model 」)!

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

“五感で感じるスポーツ ……” への2件の返信

  1. いやぁ、勉強になります…
    Ferrari F1のエンジン音、2017年のターボ・ハイブリッドのものがここまで非魅力的な”ブヒブヒ音”とは知りませんでした。仰る通り、1995年のエンジン音は、まさに”キング・オブ・キング”ですなぁ…。

    1. やはり“非魅力的”デスよねぇ?……………
      因みにソノ彼氏によれば「F1に関してはココ5〜6年で子連れのお客さんが減った気がする。」との事。
      私が思うに、現在のF1はデザインがダサくてエンジン音も悪いので、きっと“子供が憧れない”のだと思います!
      美しい女性も美しい車もヒジョーに魅力的デスが、車の中でも最高峰に位置するF1は、“美しいデザインと美しいエンジン音”が必須事項だと思います!!

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