ミニマリズムの誘惑 ……

旧ブログを通して「 工業デザイン 」カテゴリーで、定期的に御紹介しているメーカー(ブランド)が御座います。

1913年ドイツに創設(前身会社は1849年設立)された老舗企業であり、創業当時から一貫したソノ“超機能美”は、今現在考え得る工業デザインに於いて“世界一シンプルかつ美しいデザイン”であるのは間違いなく、定期的に注目する事によって、“鈍化した己のデザイン感覚”が修正される気さえ致します(以下引用)。

 

【 アルミ削り出しのミラーレスカメラ「ライカTL2 」 】( デジカメWatch )

ライカカメラジャパンは、ミラーレスカメラ「ライカTL2」を7月22日に発売する。ボディ単体の希望小売価格は税別25万円。カラーはブラックとシルバーの2色。ライカLバヨネットマウントを採用する、APS-Cフォーマットのミラーレスカメラ。2014年4月に「ライカT」として登場したカメラシステムの最新機種。従来モデル「ライカTL」のアルミ削り出しボディや大型タッチパネル式モニター、Wi-Fi経由のスマートフォン連携といった特徴を継承しつつ、基本性能を向上させている。( 2017年7月10日 )

 

 

“余計なモノが一切無いデザイン”どころか、正直なところ“必要なモノまで削ぎ落としたのでは?”とさえ思ってしまうのは、“カメラのロールスロイス”Leicaさんの新製品『 TL2 』で御座いますが、コノ『 TL2 』には、更にスタイリッシュな外付けビュー ファインダーが用意されておりまして……………

 

 

どーやら、コノ外付けビュー ファインダー不具合により発売が延期との事(現在予約受付中)。税込27万円というボディーお値段は私の様なド貧乏人には無理でも、Leicaさんの“レンズ交換式カメラ”としては、極めてお求め易いお値段であり、装着可能なサードパーティー製レンズは低価格から選択可能なので、2017年度に発売されるミラーレス コンパクト カメラでは、間違いなく目玉商品になるかと思われます。しかもPanasonicさん製のセカンド ラインではなく、“生粋のジャーマンLeica”であります。

因みに、50年代〜60年代の我が国には「 ライカ1台 = 家1軒 」という有名スローガンが存在致しましたが、21世紀の現在でもフルサイズ一眼レフ( ライカ プロフォーマット : 35mmサイズとブローニー サイズの中間 )である『 Leica S Series 』は、何とボディーお値段が“約300万円”……………

 

『 Leica S ( Typ007 ) 』

 

✳️ つまり、未だに「 ライカ1台 = 車1台 」なので御座います!

 

 

プロフェッショナル フォトグラファーの方々にとっては、実像がミラー越しに確認出来る“一眼レフ”が長年に渡って最も信頼されておりましたが、正確に云えばシャッターを押した肝心の瞬間は、ミラーが跳ね上がった状態で確認不可能でありますし、ミラーが上下する際の振動や音を嫌うプロフェッショナルのお方も少なくありません。特に欧米有名フォトグラファーの方々は、自分の撮影スタイルに合ったカメラであれば、例え本来はアマチュア用ツールであっても、何の抵抗も無く採用する傾向があります。よって次世代 有名フォトグラファーさんには、もしかしたらミラーレス カメラがポピュラーになるのかも知れません。

 

ところで、東京時代の私は、愛機『 Nikon D300 』を持参しての撮影散歩が趣味でありましたが、折しも急増した“カメラ女子”の方々と遭遇してカメラ談義になる事も度々御座いました。美大生であった某女性は「Nikonは“画像が硬い”し、デザインもプロっぽくて男性向けだと思います。女子の間では『 Canon EOS 』がポピュラー。やはり、“デザイン優先”で購入する人が多いんデス。」と仰っておりました。

 

もし『 Leica TL2 』を持参して撮影散歩を敢行したら、“カメラ女子”の反応は如何なものでしょーか?……………

写真云々よりも、ソレが気になって仕方がない変態オッサンで御座います。

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

第三の波 ……

ソノ昔、スウェーデン人の友人がおりました。

仕事に於いてはプロフェッショナル意識がヒジョーに高く、独特のデザイン(ファッション)センスを持ち、技術に拘る頑固な一面を持ち合わせておりましたが、プライベートでは誠に朴訥でスマートな好青年で御座いました。私の個人的感想では、どちらかと云えば“ドイツ人に似ている”という印象でありましたが、“ツボにはまった瞬間の爆発力”がラテン系以上に熱く、ソノ点がドイツ人とは若干異なるのが、私が勝手に考える“スウェーデン人気質”で御座います。

 

ところで今現在、“オーバー1億円のスーパー スポーツカー”を生産しているメーカーさんの中で、最大手メーカー傘下のBUGATTIさんや老舗F1チームの市販車部門であるMcLarenさんを除いた、所謂“独立系 スーパー スポーツカー メーカー”の2大雲上ブランドは、オラチオ パガーニ ( Horacio Pagani )さん率いる『 Pagani ( パガーニ : イタリア , 1992〜 ) 』と、クリスチャン フォン ケーニグセグ ( Christian von Koenigsegg )さん率いる『 Koenigsegg ( ケーニグセグ : スウェーデン , 1994〜 ) 』だと私は考えます。

ほぼ同時期に創設された2社で御座いますが、『 Pagani 』はオラチオ パガーニさんがランボルギーニ出身のお方であり、そのキャリアの中で“ランボルギーニと違うスポーツカーを創造したい”と、謂わば自然発生的に誕生した企業であるのに対して、『 Koenigsegg 』は若手実業家(当時32歳)のクリスチャン フォン ケーニグセグさんが、“誰も見た事が無いスポーツカーを創造したい”と、まるで60年代ドリーム ベンチャー的に誕生した企業でありまして、企業自体の成り立ちやバックボーンに関しては“Koenigsegg by クリスチャン フォン ケーニグセグ”に、より魅力を感じてしまう変態オッサンであります……………

 

 

Christian von Koenigseggさん ( クリスチャン フォン ケーニグセグ : スウェーデン , 1972〜 )

 

クリスチャン フォン ケーニグセグさん御自身の“ファンキーなルックス”もさる事ながら、ロマン溢れる“情熱的 起業ストーリー”は、最近のモーター ビジネス モデルとしては新鮮に感じられます。そんな彼のビジネス姿勢を反映した作品群はデザインからエンジン、そしてディテールに至るまで極めて独創的でありまして、最も重要なポイントは“イタリアンにもジャーマンにも似ていない点”で御座います。

 

Agera R

Agera RSR

Regera

 

イタリアンの“セクシーで流麗なライン”ではなく、ジャーマンの“質実剛健 機能美ライン”とも違うデザインは、正直なところ好みが分かれるかと思われますが、何れにせよ“オンリー ワン”を詰め込んだモンスター カーであるのは間違いありません……………

 

例えば「 ディヘドラル シンクロ ヘリックス アクチュエーション ドア 」と誠に長〜〜い名前のドア システムは、ランボルギーニさんの「 シザー ドア 」とは違って、ドアが前方向に回転しながら同時に外側へもスライド致します。

 

Agera One : 1

 

例えばエンジンは『 Pagani 』etc.独立系メーカーさんの多くがMercedesさん製を採用しておりますが、最高出力“オーバー1000馬力”の純オリジナル エンジンで御座います。

 

 

例えばコクピットは最新デジタル表示ながらも、あらゆるパーツがアルミ削り出しでレトロチックに仕上げられております。

 

 

例えば以下写真“亀の甲羅状物体”は何とキーで御座います。

 

 

例えばエンジン フードには何故か“お化けマーク”が……………

因みにお値段は“約2億円〜7億円”。

 

 

つまり『 Koenigsegg 』さんというスーパー スポーツカーは、正に何から何まで全てが規格外。そして、イタリア人やフランス人の様な“ラテン系民族”には発想不可能な“工芸品かつ発明品”であります。

いかにもアルフレッド ノーベルさん ( Alfred Bernhard Nobel : スウェーデン , 1833〜1896 )を輩出した、天下の“発明大国 スウェーデン”らしい企業だと思うのは私だけでしょーか?……………

 

コノ『 Koenigsegg 』さん、かつてジャパン法人が設立されましたが(2005年)、残念ながら2008年に我が国から完全撤退致しました。そして実は、2016年にカムバックしていたので御座います。

 

KOENIGSEGG JAPAN

Nagatacho SR Bldg 2F, 2-12-8
Nagata-cho, Chiyoda-ku, Tokyo 100-0014

Phone: 03-5511-2777

 

因みに、本ブログのプロデューサーである“秀津風親方さん”は、購入を前提として(?)、赤坂McLarenさんショールームを御婦人同伴で訪れたのが目撃されております。確かにMcLarenさんは素晴らしいスーパー スポーツカーでありますが、是非とも『 Koenigsegg 』さんも選択肢に加えて頂きたいと思います……………

 

 

『 Koenigsegg 2016 Owners Tour 』

 

⬆️ 2017年版には、“秀津風親方さん”の御参加を渇望致します!

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

広告写真の王道 ……

若い頃に17年間“ヘアメイク”という仕事をさせて頂きましたが、キャリアの後半はCM(広告)が多かったので、必然的にCM監督さんやCMプロデューサーさんとお酒を御一緒する機会が多く、楽しく勉強させて頂いたのは誠に有り難い経験だと感じております。色々なお方から教えて頂いた結果、自分なりに考える“理想的なCM(広告)”は、説明的な演出やナレーションに頼る事なく、自然な演出とストーリー テリングによって、何となく“良い商品なんだろーなぁ”と感じさせる作品で御座います。

例えるならば、50代以上のお方にしか御理解頂けなくて恐縮でありますが、80〜90年代のMarlboro( マールボロ )さんのCMであります。「 Marlboro Country 」とネーミングされた一連のシリーズは、巧みな演出と美しい映像及び音楽から「 タバコって美味いねぇ。」と心底思わせてくれたモノであり、当時は喫煙者だった私も、Marlboroさん製品を購入しまくった経験が御座います。但し、残念ながら近年の禁煙ブームによって、タバコ メーカーさんCM(広告)を拝見する機会は、今後も増える事は無いかと思われます……………

撮影業界を辞めて18年も経過致しましたが、未だにCM(広告)が気になってしまう変態オッサンが、テーマ性と写真のインパクトから“サスガ”と唸ってしまったのがLouis Vuittonさんの広告であります。

 

 

上から「 キース リチャーズ編 」「 カトリーヌ ドヌーブ編 」「 ゴルバチョフ 元ソ連大統領編 」( 全て2007年作品より )

 

上記は、有名写真家アニー リーボビッツさん( Annie Leibovitz : アメリカ , 1949〜 )による“旅”をテーマにしたシリーズ。アニー リーボビッツさんはドキュメント フォトグラフ出身でありまして、後にファッション フォトグラファーとして“天下のVOGUE誌”専属となったお方であります。よってソノ芸風は、ドキュメンタリー タッチで存在感大のポートレイトを得意としており、このキャンペーンは正に“ハマり役”なので御座いました。

因みに、キース リチャーズさんは「ルイ ヴィトンのギター ケースを作ってくれるんなら、ギャラなんかいらねぇよ。」と、言ったとか言わなかったとかの逸話が残っております。

 

そんなLouis Vuittonさんの最新広告「 SERIES 7 」は(以下引用)……………

 

【 ルイ ・ヴィトンの新広告キャペーンにソフィー・ターナーが登場! 】( Harper’s BAZAAR )

ルイ・ヴィトンの2017-18秋冬広告キャンペーン「Series 7」が公開された。
今回は、粗野なエレメントとはっきりとしたラインが特徴のインダストリアルな世界がテーマ。ブルース・ウェーバーが映画のような理想の舞台を背景に誰も見たことのないキャラクターやパワフルなヒロインを捉え、ロマンチックなバレエ仕立てのストーリーを展開。そのストーリーにおいて予期せぬ侵入者を演じ、ニコラ・ジェスキエールのイマジネーションをモデルとして体現したのが、そうそうたる著名人たち。(2017年7月9日)

 

 

 

何と“あの”ブルース ウェーバーさん( Bruce Weber : アメリカ , 1946〜 )入魂ヴィジュアルで御座います!

Louis Vuittonさんという“名門ハイ ブランド”の重厚さを残しながらも、カジュアルで若々しく落とし込んだ世界観の妙技。ハイ ブランドの共通した課題である“ブランドのリフレッシュ(若返り)”が重要な問題である点を考慮し、セレブ モデルの魅力を充分に昇華させた、極めて見事な“戦略的広告”だと感心致します。

しかしながらブルース ウェーバーさんと云えば、モノクロ作品が余りにも秀逸でありますので、今回のキャンペーン フォトに対しては、“カタログ撮影定番のグレー バックで新鮮味に欠ける”との御意見多数でありますが、ライティングと構図の巧みさは如何にも“ブルース ウェーバー節”でありまして、広告写真王道の安心感と説得力に関しては、ブルース ウェーバーさん監督の以下ショート ムービーを御覧になれば、誰もが納得して頂けるかと思います……………

 

『 Louis Vuitton Series7 / Bruce Weber ( 2017 ) 』

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

生活の芸術 ……

2003年秋のお話で御座います。

私は渋谷の某家電量販店で、“本日発売”と書いてある携帯電話に目が止まりました。現在と違ってナンバー ポータビリティー制度が無かった時代でしたので、携帯電話会社を変更するのには多数のデメリットが存在致しましたが、ソノ端末はNOKIAさんやMOTOROLAさんetc.欧米メーカーのデザインとは一味違う“ジャパニーズ テイスト”でありまして、ヒジョーに新鮮に感じた私は思わず“即決購入”してしまいました。

 

『 INFOBAR ICHIMATSU / au ( 2003 ) 』

 

購入して直ぐにデザイン上の“気になる点”が発覚致しました。ソレは格納時にも“突き出たアンテナ”で御座います。既にアンテナ レス(内臓アンテナ)が主流になりつつありましたので、私としては“内臓アンテナにしてくれれば、もっとスッキリしたデザインだったのでは?”と思いましたが、当時の端末としては極めて小型軽量だったコノ製品は、胸のポケットに収納する機会が多かったので、実は“突き出たアンテナ”は取り出す際の“取っ手”として誠に重宝致しました。つまり“DESIGNED BY FUNCTION ”だった訳で御座います……………

スタイリッシュな上に、使う程に手に馴染み愛着が湧いて来るデザイン。気になってデザイナーを調べてみましたら、深澤直人さん( NAOTO FUKASAWA , 1956〜 )によるデザインで、IDEA賞金賞(アメリカ)、D&AD賞金賞(イギリス)、iF Design賞金賞(ドイツ)その他国際デザイン賞を総ナメにし、ジャパンよりむしろヨーロッパで有名な“超一流工業デザイナー”のお方であり、以前から気になっていた“換気扇型CDプレイヤー”も深澤直人さんのデザインでありました。

 

『 壁掛け式CDプレイヤー / 無印良品 ( 2000 ) 』

 

他にも“摩訶不思議な加湿器”や……………

 

『 加湿器 / ±0 ( 2004 ) 』

 

“イタリア名門ハウスウェア メーカー製品”や……………

 

『 Cha クリーマー / ALESSI ( 2015 ) 』

 

“ドイツ名門筆記具メーカー製品”や……………

 

『 NOTO / LAMY ( 2008 ) 』

 

パンが“1枚づつしか焼けないトースター”も……………

 

『 トースター / ±0 ( 2008 ) 』

 

因みに、我が国の平均家族構成は3〜4人と云われておりますので、上記のトースターを使用致しますと3〜4回焼かなければいけません。但し、芸術は“時として不自由なモノ”であり実用性を欠きます。パンが焼ける迄ひたすら待つのも又“芸術鑑賞の一時”かと思われます。

 

深澤直人さん作品に共通しております特徴は……………

✳️ 1 ) シンプルでスタイリッシュなデザイン。

✳️ 2 ) 手に馴染む機能性。

✳️ 3 ) 使い込む程に感じる暖かさ。

 

例えば、レオナルド ダ ヴィンチさん( Leonardo da Vinci : イタリア , 1452〜1519 )の様に歴史的大芸術家の作品は、滅多に拝観出来る機会が御座いませんので、もし機会があるならば絶対に拝観する事をオススメ致します。しかしながら、工業製品は謂わば最も身近な“使い倒せる芸術作品”でもあります。実際のところ、私が所有する“おんぼろボンド カー”『 BMW Z3 』は、有名カー デザイナー永島譲二さん( Joji Nagashima , 1955〜 )作品であり、BMW云々ではなく“永島譲二さん作品を運転している喜び”を感じるのは正に至福の瞬間で御座います。

工業製品を選ぶ時に“誰がデザインしたか?”を選択肢に加えると、モノ選びは更に何倍も楽しくなりますし、購入後の愛着もより深くなるのではないでしょーか?……………

 

ところで、深澤直人さんの“国内初個展”が明日から開催されます(以下引用)。

 

【 名作がずらり勢ぞろい!深澤直人、待望の初個展がいよいよ開催 】(Harper’s BAZAAR)

日本が世界に誇るプロダクトデザイナー、深澤直人氏。その国内初となる待望の個展が、7月8日(土)よりついに開催となる。
アレッシィやB&Bイタリア、ハーマン・ミラー、ラミーなど、錚々たる世界的ブランドのデザインに加え、パナソニックや無印良品、マルニ木工など、国内ブランドでもデザインやコンサルティングで幅広く活躍する深澤氏。今回はそのなかから、ブランドの製品として生まれ、グッドデザイン賞などさまざまな賞を受賞した作品が多数出品される。(2017年7月3日)

『AMBIENT 深澤直人がデザインする生活の周囲展』
会場/パナソニック 汐留ミュージアム(東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階)
会期/2017年7月8日(土)~10月1日(日)
料金/一般 ¥1,000、65歳以上 ¥900、大学生 ¥700、中・高生 ¥500、小学生以下 無料
tel: 03 5777 8600(ハローダイヤル)
https://panasonic.co.jp/es/museum/

 

東京を離れて約4年の変態オッサンでありますので、伺えないのが残念でなりません!

 

『 HIROSHIMA スツール High / マルニ木工 ( 2016 ) 』

 

( 写真は全てネットから拝借。)