生活の芸術 ……

2003年秋のお話で御座います。

私は渋谷の某家電量販店で、“本日発売”と書いてある携帯電話に目が止まりました。現在と違ってナンバー ポータビリティー制度が無かった時代でしたので、携帯電話会社を変更するのには多数のデメリットが存在致しましたが、ソノ端末はNOKIAさんやMOTOROLAさんetc.欧米メーカーのデザインとは一味違う“ジャパニーズ テイスト”でありまして、ヒジョーに新鮮に感じた私は思わず“即決購入”してしまいました。

 

『 INFOBAR ICHIMATSU / au ( 2003 ) 』

 

購入して直ぐにデザイン上の“気になる点”が発覚致しました。ソレは格納時にも“突き出たアンテナ”で御座います。既にアンテナ レス(内臓アンテナ)が主流になりつつありましたので、私としては“内臓アンテナにしてくれれば、もっとスッキリしたデザインだったのでは?”と思いましたが、当時の端末としては極めて小型軽量だったコノ製品は、胸のポケットに収納する機会が多かったので、実は“突き出たアンテナ”は取り出す際の“取っ手”として誠に重宝致しました。つまり“DESIGNED BY FUNCTION ”だった訳で御座います……………

スタイリッシュな上に、使う程に手に馴染み愛着が湧いて来るデザイン。気になってデザイナーを調べてみましたら、深澤直人さん( NAOTO FUKASAWA , 1956〜 )によるデザインで、IDEA賞金賞(アメリカ)、D&AD賞金賞(イギリス)、iF Design賞金賞(ドイツ)その他国際デザイン賞を総ナメにし、ジャパンよりむしろヨーロッパで有名な“超一流工業デザイナー”のお方であり、以前から気になっていた“換気扇型CDプレイヤー”も深澤直人さんのデザインでありました。

 

『 壁掛け式CDプレイヤー / 無印良品 ( 2000 ) 』

 

他にも“摩訶不思議な加湿器”や……………

 

『 加湿器 / ±0 ( 2004 ) 』

 

“イタリア名門ハウスウェア メーカー製品”や……………

 

『 Cha クリーマー / ALESSI ( 2015 ) 』

 

“ドイツ名門筆記具メーカー製品”や……………

 

『 NOTO / LAMY ( 2008 ) 』

 

パンが“1枚づつしか焼けないトースター”も……………

 

『 トースター / ±0 ( 2008 ) 』

 

因みに、我が国の平均家族構成は3〜4人と云われておりますので、上記のトースターを使用致しますと3〜4回焼かなければいけません。但し、芸術は“時として不自由なモノ”であり実用性を欠きます。パンが焼ける迄ひたすら待つのも又“芸術鑑賞の一時”かと思われます。

 

深澤直人さん作品に共通しております特徴は……………

✳️ 1 ) シンプルでスタイリッシュなデザイン。

✳️ 2 ) 手に馴染む機能性。

✳️ 3 ) 使い込む程に感じる暖かさ。

 

例えば、レオナルド ダ ヴィンチさん( Leonardo da Vinci : イタリア , 1452〜1519 )の様に歴史的大芸術家の作品は、滅多に拝観出来る機会が御座いませんので、もし機会があるならば絶対に拝観する事をオススメ致します。しかしながら、工業製品は謂わば最も身近な“使い倒せる芸術作品”でもあります。実際のところ、私が所有する“おんぼろボンド カー”『 BMW Z3 』は、有名カー デザイナー永島譲二さん( Joji Nagashima , 1955〜 )作品であり、BMW云々ではなく“永島譲二さん作品を運転している喜び”を感じるのは正に至福の瞬間で御座います。

工業製品を選ぶ時に“誰がデザインしたか?”を選択肢に加えると、モノ選びは更に何倍も楽しくなりますし、購入後の愛着もより深くなるのではないでしょーか?……………

 

ところで、深澤直人さんの“国内初個展”が明日から開催されます(以下引用)。

 

【 名作がずらり勢ぞろい!深澤直人、待望の初個展がいよいよ開催 】(Harper’s BAZAAR)

日本が世界に誇るプロダクトデザイナー、深澤直人氏。その国内初となる待望の個展が、7月8日(土)よりついに開催となる。
アレッシィやB&Bイタリア、ハーマン・ミラー、ラミーなど、錚々たる世界的ブランドのデザインに加え、パナソニックや無印良品、マルニ木工など、国内ブランドでもデザインやコンサルティングで幅広く活躍する深澤氏。今回はそのなかから、ブランドの製品として生まれ、グッドデザイン賞などさまざまな賞を受賞した作品が多数出品される。(2017年7月3日)

『AMBIENT 深澤直人がデザインする生活の周囲展』
会場/パナソニック 汐留ミュージアム(東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階)
会期/2017年7月8日(土)~10月1日(日)
料金/一般 ¥1,000、65歳以上 ¥900、大学生 ¥700、中・高生 ¥500、小学生以下 無料
tel: 03 5777 8600(ハローダイヤル)
https://panasonic.co.jp/es/museum/

 

東京を離れて約4年の変態オッサンでありますので、伺えないのが残念でなりません!

 

『 HIROSHIMA スツール High / マルニ木工 ( 2016 ) 』

 

( 写真は全てネットから拝借。)