2017年度末から本年度に掛けて発生した事件で、“進展”もしくは“終息”を待って御紹介したいと考えていた“ある案件”がありましたが、マス メディア並びに在米メル友からも新情報が提供されませんので、本日ココに取り上げさせて頂きます。
2017年、ハリウッドの超大物プロデューサー、ハーヴェイ ワインスタインさんが“セクハラ問題”で失脚。余波は世界中のあらゆるジャンルへと飛び火して、現在“世界的 #MeTooムーブメント真っ只中”なのは御存知の通りでありますが、今回の案件は“バイ セクシャル問題”も含んでおり、事態はチョット複雑であります(以下引用)……………
【 今度の性被害者は男性モデル!ヴォーグ誌が著名写真家を「クビ」に 】( Newsweek )
米ヴォーグ誌が、セクハラ疑惑の渦中にある著名なファッション写真家2人を「クビ」にした。13日にニューヨーク・タイムズ紙は、写真家のマリオ・テスティーノ(63)とブルース・ウェバー(71)のセクハラを告発する多くの男性モデルの声を伝えた。これを受けてヴォーグのカリスマ編集長アナ・ウィンターは、テスティーノとウェバーには「当面の間」仕事を依頼しないと発表した。
テスティーノに対しては13人の男性モデルおよび元アシスタントがセクハラ被害を訴えているほか、ウェバーに対しては15人の男性モデルから、性的な行為を強制されたほか、撮影の最中に必要もないのに裸にさせられたとの声が上がっている。ウェバーは、カルバン・クラインのセクシーなCMを撮影したことでも知られる。「セクハラは絶え間なく続いた」と、テスティーノと90年代に一緒に仕事をした元アシスタントは述べている。( 2018年1月15日 )
当ブログではスッカリお馴染みのブルース ウェーバーさん。
今現在“存命している写真家”の中で、ファッション フォトグラフに於いては間違いなく“世界の頂点に君臨する写真家”で御座います。
左からブルース ウェーバーさん、アナ ウィンターさん ( ヴォーグUSA 編集長 ) 、ラルフ ローレンさん ( デザイナー ) 、何とも豪華な“モード界 大御所3ショット”。
そんなブルース ウェーバーさんと“双璧を成す存在”のマリオ テスティーノさん。
[ Mario Testino : ペルー ( 現在はイギリス国籍 ) , 1954〜 ]
ブルース ウェーバーさんの芸風が“グラマラス”や“スキャンダル”という表現に象徴され、“緊張感”と“説得力”を強烈にアピールした写真であるのに対して、マリオ テスティーノさんの世界観は、“ブルース ウェーバーさんを若干ソフトにした感じ”と云えば分かり易いかと思います。故に“2大ファッション フォトグラファー”と称されるお二人でありますが、マリオ テスティーノさんに関しましては、故 ダイアナさんのポートレイトが特に有名かと……………
『 DIANA / MARIO TESTINO 1997 』
因みに、ヘアメイク時代の私にとってマリオ テスティーノさんは、ブルース ウェーバーさん同様に“憧れのスーパー フォトグラファー”として、極めて特別な存在でありました。
『 GUCCI / MARIO TESTINO 1996 』
『 MICHAEL KORS / MARIO TESTINO 2015 』
現時点では“アメリカ版のみ”でありますが、ブルース ウェーバーさんとマリオ テスティーノさんが“天下のVOGUE誌”から締め出されたという事実は……………
❇ メジャー リーグ ベースボールに例えた場合。
「 ニューヨーク ヤンキース 」さんと「 ロサンゼルス ドジャース 」さんの2球団が、ペナントレース中に“協会を不可逆的脱退”に相当。
❇ F1 グランプリに例えた場合。
「 フェラーリ 」さんと「 メルセデス AMG 」さんの2チームが、シーズン中に“連盟を不可逆的脱退”に相当。
つまり、モード界の歴史に残る大事件であると同時に、ファッション エディトリアル界にとって“前代未聞の大損失”なので御座います!
『 British Vogue / MARIO TESTINO 2016 』
『 French Vogue / MARIO TESTINO 2016 』
『 American Vogue / MARIO TESTINO 2015 』
確かに“セクハラ”は許し難い重大犯罪でありますので、ペナルティーとしてソノ後一定期間の活動禁止は妥当な処分かと思われます。
しかしながら、一部マスコミ報道で炎上している様に“数十年前の行為をほじくり返して、当該人物の全功績を否定する”のが、はたして妥当な“罪と罰”でしょーか?……………
『 British GQ / MARIO TESTINO 2015 』
『 VANITY FAIR / MARIO TESTINO 2014 』
マリオ テスティーノさんによる作品群は、例えどんな事があろうとも“翠玉の如く輝き続ける”と、信じて疑わない変態オッサンでありました。
『 MICK JAGGER and KEITH RICHARDS / MARIO TESTINO 2014 』
( 写真2〜5はネットから拝借。写真1、6〜14はマリオ テスティーノさんのTwitterから拝借。)
なるほど、勉強になります…
“数十年前の行為をほじくり返して、当該人物の全功績を否定する”、確かに、同じ様なことが時々、日本でもありますなぁ。中でも学歴詐称の問題は、突然出てきて、すぐさま幕引きになり、ゴシップ好きの人の恰好の話題になりますが、当のご本人は二度と日の目を見ませんから(?)、何とも可哀そうであります。
ところで、アイキャッチの写真、一見気付きませんでしたが、写真集の表紙なのですね。よく見ると、なかなか味が(?)ありますなぁ…。
アノ写真自体が意味深でありますが……………
因みに、我が国で昨今多発しているアマチュア スポーツ界のセクハラ、パワハラ問題に関しましては、圧倒的に加害者側に問題がある場合が多く、選手達が実に気の毒だと感じます!
ソレに対して本件はチョット事情が違うと思います。
御存知の様にファッション フォトグラフに於いては、“バイ セクシャル的イメージ”は重要な要素のひとつでありますし、超一流のクリエイターにはゲイやバイ セクシャルの方が多いので、どーしても事件化する頻度が高いのは事実で御座います。
しかしながら、ブルース ウェーバーさんやマリオ テスティーノさんetc.所謂“大御所”が、永遠に“現場最前線”に君臨し続けるのが欧米写真業界の大きな魅力でもあります!!
ソノ点では今回の“締め出し”は、やはり極めて重大な損失かと……………