巨匠デザイナー再考 ……

SEIKOさんという時計メーカーは、60年代以降のクォーツ ブームを牽引しただけではなく、ワールド ビッグネームの工業デザイナーを起用したり、デザイン スタジオをミラノに構えたりと、御自慢の技術力に加えて何かと“デザインに対する拘り”もヒジョーに強い企業だと思います。

『 SEIKO ASTRON 2017 Limited Edition 』

 

上記のクロノグラフは“自動車運転中の視認性”に重点を置いたデザインがポイントであり、多くの情報を小さな文字盤にスッキリと収納した魅力的なリスト ウォッチで御座います。チョット気になってデザイナーを調べてみましたら、イタリアの“巨匠”ジョルジェット ジウジアーロさん(Giorgetto Giugiaro , 1938〜)でありました。

ジョルジェット ジウジアーロさんと云えば、我々(50代)ジェネレーションにとっては別格の工業デザイナーであります。そのクリエイション フィールドは、本来の専門であるカー デザインを中心として極めて多岐に渡り、あらゆるジャンルで名作を残した“真の天才デザイナー”で御座います。

 

『 LOTUS ESPRIT 1976 』

『 BMW M1 1978 』

『 DeLorean DMC-12 1981 』

 

自らのキャリア スタートとなったカー デザインに於いては、直線と平面で構成されたデザインが特徴でありまして、ソノ芸風は「 折り紙細工 」と呼ばれ大絶賛されました。改めて拝見致しましても“時代的な古さ”は感じるものの“デザイン的な古さ”は全く感じません。むしろカー デザイン トレンドとしてはルーティーン化している感があり、ファッションに例えるならば、謂わば“60年代ファッション”ライクな“ジウジアーロ デザイン”なので御座います。

実はこの“ジウジアーロ デザイン”。他ジャンルの工業製品に関しましては、冒頭のリスト ウォッチ同様に“セクシーな曲線”をフィーチュアした芸風に変化致します。

 

『 Nikon D4 2012 』

『 ETR 610 ( イタリア国鉄 ) 2008 』

『 D.O.P ( イタリア原産地名称保護制度 ) 認定品専用 バルサミコ酢 ボトル 』

 

ところで、ジョルジェット ジウジアーロさんが“真の天才デザイナー”たる所以は、以下の様な商品までデザインなさった点であります。本日は誠に貴重な設計図(?)も合わせてどーぞ……………

 

 

私が東京時代に購入しておりましたパスタ メーカー『 Voiello ( ヴォイエッロ ) 』さんから1983年に発売されたマカロニ『 マリッレ 』で御座います。但し、御覧になれば分かる“複雑なデザイン”故に直ぐ生産終了になってしまいました(後に限定品として再生産)……………

因みに、ジョルジェット ジウジアーロさん曰く「特に口当たり、歯応えに重点を置いてデザインした。」入魂の逸品でありまして、“超大物”でありながらも「頼まれれば何でもやりまっせ。」的な人の良さを併せ持つハートフルなお方でもあります。

 

かつてBMWのチーフ デザイナーだったクリス バングルさん(本名 : Christopher Edward Bangle , 1956〜)は、2009年「もはやカー デザインには何の刺激も感じない。」と家電デザイナーに“電撃転身”して話題になりました。

確かにAppleさんの神通力が弱まりつつある昨今、PCを含むデジタル家電のデザインに“サムシング エルス”を注入出来るのは、新人よりもジョルジェット ジウジアーロさんの様な大御所なのかも知れません。

 

よって今こそ、ジョルジェット ジウジアーロさんを起用した“本気(骨太)デザイン”を、是非とも身近なジャパニーズ プロダクトで見たい。と切に願う変態オッサンで御座います!

 

 

⬆️ ジョルジェット ジウジアーロさん作品番外編。

映画等でお馴染み“世界一有名なハンド ガン”『 BERETTA M92 FS 』の発展型『BERETTA M90two 2006 』

まるで“黒いドレスを着た貴婦人”の如き美しさ……………

 

( 画像は全てネットから拝借。)