大いなる音楽遺産 ……

御無沙汰しております。

お陰様で持病(心臓弁膜症)は安定しておりますが、病気による“早寝”並びにバイト先の繁忙期につき、ブログ更新が極めて滞っている変態オッサンで御座います……………

以前、アメリカ人メル友が「“ジャズの本場”ニューオリンズでさえ、現在はジャズを教える音楽スクールが皆無であり、若者のジャズ離れは“深刻な問題”だと考える。このままでは、ジャズと云う音楽は後世に残る事なく音楽史に埋没してしまう。」と嘆いておりました。

マイルス デイヴィスさんの人生を描いた映画『 MILES AHEAD / アメリカ : ドン チードル監督 ( 2016 ) 』も興行的に成功したとは言い難く 、アメリカのみならず“世界中”でジャズに対する冷風が吹いている様に感じます。

そんなアメリカ人メル友から先日「ヒップホップも良いけれど、我が国には“ジャズと云う世界最高峰の音楽文化”があるんだよ、と息子に教えてやったら、ケッコー楽しそうにマイルス聴いているわな。」とのメールを戴きました。御存知の様に音楽は“音を楽しむ”と書きますから、父親の趣味を押し付けられた子供さん(年齢不詳)は若干お気の毒だと同情致しますが、上記の現状を考えてみれば“ジャズに触れる良い機会”だったと思います。

「 Miles Davis – The Martin Committee Trumpet in B Flat, model T3460 ( 2019年、“約3000万円で落札”されたマイルス デイヴィスさんの愛機 ) 」

因みに、父親はエルビス プレスリー、母親はアルゼンチン タンゴという音楽環境下(?)に生まれた私は、中学でレッド ツェッペリンやディープ パープル等の“ブリティッシュ ロック”にドップリ浸かり、高校ではマイルス デイヴィス、ウェザー リポートetc.に浸かりかけましたが、何故かロックに比べて熱中する事はありませんでした。

今にして思えば当時“ロックは思春期の音楽、ジャズが分かって初めて大人と認める”とか、“BGMとしてジャズが流れている店はオシャレな店”的な社会的風潮があり、ソレらがジャズを好きになれなかった大きな理由かと。

ところが、今年に入って何故かマイルス デイヴィスさんが無性に聴きたくなりました。しかしながら、我が家のオーディオ セットは御臨終状態であり、よって高校時代に購入したアナログ盤は再生不可能。かと云って、東京時代に購入したマイルス デイヴィスさんのCDは、全て友人にあげてしまったので再購入を決定……………

そこで再購入盤として選んだのは、マイルス デイヴィスさんにとって“すこぶる評価が低い晩年の作品”で御座いました。

『 The Man With The Horn / Miles Davis ( 1981 ) 』

ここで、簡単にマイルス デイヴィスさんの“オサライ”をさせて頂きます。

1926年に誕生して1945年にデビューしたマイルス デイヴィスさんは、1970年頃からバンドにエレキギター、キーボード他“電子楽器”を取り入れ、自らのトランペットにも電気的エフェクターを好んで採用。コノ時代は所謂“エレキ(エレクトロ)時代”と呼ばれており、コアなファンからはヒジョーに低評価なのが現実であります。

1972年に愛車「 LAMBORGHINI MIURA ( アイキャッチ画像参照 ) 」を運転中に、車を全損する大事故(グローブボックスのコカインを同乗者が始末した逸話あり)を起こして以降は体調、メンタル面で極めて不安定になってしまい、1975年頃から5〜6年間“雲隠れ期”に突入(ドン チードルさん監督、主演の作品は主にコノ時期を描いている)。

『 The Man With The Horn 』は、そんなマイルス デイヴィスさんの華々しいカムバック アルバムで御座いましたが、ロック&ポップ色が濃いサウンドは、“マイルス信者”から総スカンを喰らいセールス的にも大失敗……………

マイルス デイヴィスさん ( 本名 Miles Dewey Davis III / アメリカ、1926〜1991 )

例えどんなに器用なクリエイター(アーティスト)であっても、ファン(支持者)が求めるサウンドと、自分が創造したいサウンドに相違点が生じるのは仕方ない事態であり、故に“駄作”と呼ばれる作品が登場してしまうのですが、反対に云えば“評価の低い作品=駄作(本当にダメな作品)”という図式が必ずしも成り立つ訳ではなく、改めて聞けば“新しい感動を伴う名作(迷作)”を発掘出来る可能性もあります( DEEP PURPLEさんの『 Come Taste the Band ( 1975 ) 』が好例 )。

『 The Man With The Horn ( 1981 ) 』もジャズ、ロック、ポップの垣根を超えた謂わば“マイルス デイヴィス ミュージック”の真骨頂。特にマイク スターンさんのギターが凄まじく、むちゃくちゃ“ロックっぽい”のに、トランペットやベースとの絡みは如何にもジャズそのもの、何とも新鮮で心地良く耳に残ります(マイク スターンさんは後のインタビューで「マイルスからは常に“ジミヘンっぽく弾け”と言われて疲れた。」と語っておりました)。

但し、初めて聴いた際“曲順がおかしいんじゃねーの?”と違和感を覚えましたが、今聴き直してもやはり同感なので“シャッフル再生”を強くオススメ致します。何れにしても、むしろ“ジャズに興味の無いロック ファン”に是非とも聴いて頂きたいアルバムと云えます。

ところで、マイルス デイヴィスさんを再考される上で“最も重要なポイント”を申し上げます……………

『 Sorcerer / Miles Davis ( 1967 ) 』

『 On the Corner / Miles Davis ( 1972 ) 』

『 You’re Under Arrest / Miles Davis ( 1985 ) 』

上記のアルバム ジャケット シリーズを御覧になれば一目瞭然。

とにかく“アルバム ジャケットのセンスが悪い”ので御座います。特に『 You’re Under Arrest ( 1985 ) 』に於かれましては、マイケル ジャクソンさん、シンディー ローパーさんの名曲カバーを収録する“激ポップ アルバム”にも拘らず、黒装束でライフルらしき物体を抱えた物騒さ……………

誠に失礼ながら、ジェフ ベック先生を凌ぐ“世界一アルバム ジャケットのセンスが悪いミュージシャン”の称号を贈呈したいと思います。

ですから皆さんは決してジャケットに惑わされない様、くれぐれも宜しく御願い致します!

『 Miles Davis & Chaka Khan : Human Nature ( Live in Montreux 1989 ) 』

( 画像1、2、4〜8はネットから拝借。画像3は自身のInstagramより。)

賢者 VS 巨大企業 ……

FERRARIさんと云う企業は、“市販車販売部門”よりも“レース部門”の方が実質的な経営規模が大きく、よってF1運営元のFIA(国際自動車連盟)によれば、F1に於けるFERRARIさんは“レース専門企業”の扱いでありまして、現在の“ワークス チーム(自動車メーカー直営チーム)”は、“RENAULTさんとMERCEDES-AMGさんだけ”との見解で御座います。

オリンピック同様に、“近代F1”が商業主義にドップリ浸かっているのは皆さんも御存知の通り。しかしながら本来のF1は、“上限のないスポーツカー実験室”的な側面が強く、誠にピュアなモーター スポーツでありました。

FERRARIさんが、“孤高のレーシング集団”としてモーター スポーツ史に存在を確立出来たのは、マス企業ではなく“小〜中規模プロフェッショナル集団”であった点が大きく、時代の流れetc.を考慮すると、FERRARIさんライクな“モーター スポーツに特化した企業”は、今後2度と現れない様な気が致します……………

そんなモーター スポーツ史の中で、1960年代に“打倒FERRARI”に全身全霊を掛けた「 小規模プロフェッショナル VS 大規模マス カンパニー 」の構図があったのを御存知でしょーか?……………

一般大衆車で大成功を収めたFORD社が、更なるイメージ向上の為に“モーター スポーツ”進出を決定した際、FORD社の目玉政策は何と“FERRARI社買収”でありましたが、“全イタリア国民”の反対により断念。そこで自社製レーシング カーによる“打倒FERRARI”を画策。舞台に選ばれたのが「 ル マン24時間レース ( 24 Heures du Mans ) 」でした。

その“トゥルー ストーリー”を描いた書籍はいくつも存在し、映画化権を所得したという話も何度か聞きましたが、何故か今迄映画化されなかったので御座いますが、コノ度“超一流キャスト&スタッフ”により待望の映画化が実現。

『 フォード VS フェラーリ ( FORD VS FERRARI ) / 監督 : ジェームズ マンゴールド 2019 』

❇️ 2020年1月、全国一斉ロードショー予定。

1996年の「 ル マン24時間レース 」、“FERRARI 330P3とFORD GT-40Mk.IIの死闘”を描いた本作品。

カー エンジニアのキャロル シェルビー(「 AC コブラ 」生みの親)役がマット デイモンさん。レーサーのケン マイルズ役がクリスチャン ベイルさんという、“どー転んでも面白いに違いない”と断言出来るキャスティングであります!

因みに私は、“映画館すら無いド田舎”に住んでおり、試写会にも参加出来ません。よってトレーラー(予告編)を観た個人的な感想に加えて、本編を観た欧米人メル友の感想を参考にした、謂わば“独自の無責任オススメ”をウリとしております。ソレにしても本作品。公開時期がアメリカ本国で12月と迫っているにも拘らず、いつも以上に“事前情報に乏しい”のでありますが、公開中の“公式トレーラー”を観ただけでも、充分に面白さを“予感”させてくれます。

『 FORD VS FERRARI / James Mangold ( 2019 ) 』

ところで……………

「 ル マン24時間レース 1966 」の資料を調べてみましたら、8台のGT-40Mk.IIがワークスマシンとしてエントリー。5台のGT40Mk.Iがプライベーターマシンとしてエントリーしており、最終的には、“ブルース マクラーレン(F1 マクラーレン チーム創設者) / クリス エイモン組”のGT-40Mk.IIが優勝しております。

つまり、主人公クリスチャン ベイルさん演じるケン マイルズ選手、実は優勝していない訳でありまして、ソノ辺りのストーリー展開が如何なものかと、ヒジョーに気掛かりな変態オッサンで御座いました……………

( 画像は全てネットから拝借。)

本年度最高の笑撃作品 ……

皆さんは、松本清張さんや江戸川乱歩さん原作のTVドラマを観て、“ツッコミが足りない”とか“ヒネリが足りない”と感じた経験はありませんか?……………

又は、我が国を代表する作家の代表作を“外国人脚本家さん”が手掛けた映像作品を観て、“悔しいけど良く出来ている”と感じた経験はありませんか?……………

結局のところ、同国人として“偉大さを知り尽くしている日本人”よりも“単にファンである外国人”の方が、客観的に躊躇なく扱える故に功を成すのだと思います。つまり、当事者以外だからこそ可能な“文化の拡大解釈”が常に存在し、ソレは“政治的局面”に於いては時として大問題となりますが、エンタメ芸術表現に関しましては、“第三者にしか成し得ない痛快暴挙”となるのであります。

本日は、そんな第三者による“笑撃(衝撃)作品”を御紹介させて頂きます。

『 アイアン スカイ / 第三帝国の逆襲 ( Iron Sky / THE COMING RACE ) : ティモ ヴオレンソラ監督 2019 』

❇️ 2019年7月12日(金曜日)、「 TOHOシネマズ日比谷 」他全国一斉ロードショー予定。

2012年公開の前作『 Iron Sky ( アイアン スカイ ) 』は、「第二次世界大戦後に“月へと逃げたナチス”が、月面に巨大基地を形成して地球侵略を企てる。」という、余りにも斬新で“奇想天外”なストーリーだったと記憶しております。さぞ“興行的大失敗”かと思いきや、予想外に“ヨーロッパ人メル友の評判が良かった”のには驚きましたが、まさか“続編”が制作されるとは思いませんでした……………

しかも今回は何と、ヒトラー、ビンラディン、サッチャー、チンギス ハーン、ローマ法皇、スティーブ ジョブズetc.が“キー キャラクター”として登場致します。

触れてはいけない“大人の事情満載”の映画界で御座いますが、上記の様な“錚々たる面々”をおちょくり捲り、正正堂堂と“パロディー化して笑い飛ばせる”背景には、本作品がアメリカやイギリス等の所謂“映画先進国製”ではなく、“フィンランド製”である点が大きく貢献しているのでは?と思われます。

特に私が注目したのは……………

❇️ 1 ) コメディー作品にも拘らず、フィンランドとドイツの“お堅い映画財団”が1,300万ドルを制作費として提供。

❇️ 2 ) クラウドファンディングで、“コアなファン”から100万ドル以上の資金調達に成功。

❇️ 3 ) “ハリウッド系メジャー作品”に比べれば遥かに低予算ながらも、極めてハイレベルなVFX(特殊効果)を実現。

因みに、オリジナル版はフィンランド語。英語版並びにドイツ語版は“アテレコ(吹き替え)”となっておりますが、全く違和感を感じない完成度との事。

❇️ 我々世代(50代)にとってフィンランドと云えば「 ムーミン、NOKIA(携帯電話メーカー)、ミカ ハッキネン(元F1ドライバー) 」が“三種の神器”で御座いましたが、今後は“フィンランド映画”から目が離せない変態オッサンでありました!

『 Iron Sky / THE COMING RACE ( 2019 ) 』

( 画像は全てネットから拝借。)

スキャンダル ( 酷評 ) の先にある物 ……

我が国では先日、“某有名テクノ ミュージシャン”が「 麻薬取締法 」違反で逮捕された際に、同氏が手掛けた音楽作品や出演映画、CM等の取り扱いを巡って、SNS上で多くの議論が交わされたのは記憶に新しいところかと思います。

「 麻薬取締法 」違反に拘らず、法律に反した者は等しく裁判によって裁かれ、相応の罰則(制裁)を受けなければならないのは当然で御座います。しかしながら過去に関わった作品(制作品)は、当人以外にも多くの方々が関わっておりますので、私生活で犯した罪によって、“創作活動上の全作品(制作品)”が否定されてしまう現状には、若干の違和感を感じるのが正直なところであります(飽くまでも主観)。

❇️ 当ブログに於いては、ファッション デザイナーのトム フォードさんと並んで登場回数が最も多い、ファッション フォトグラファーの“巨匠”ブルース ウェーバーさんの場合……………

ブルース ウェーバーさん ( Bruce Weber : アメリカ , 1946〜 )

2017年以降、複数の男性モデルから“セクハラ”で訴えられております。全ての案件が現在“係争中”でありますので、私の様な“法律ド素人”が、現時点でソノ件に関して語るのは敢えて差し控えさせて頂きます。

今現在のブルース ウェーバーさんは、ファッション関係出版社として“世界最大手”である「 コンデナスト パブリケーションズ ( Condé Nast Publications : アメリカ , 1907〜 ) 」さんから所謂“出入り禁止”となっており、加えて広告etc.アドバタイジング フィールドでも“最前線”から遠ざかっております。

私の記憶が正しければ、2017年に発表されたヴェルサーチ ( VERSACE ) の香水「 DYLAN BLUE POUR FEMME ( ディラン ブルー プー ファム ) 」プロモーション ヴィジュアルが、ブルース ウェーバーさんにとって“メジャー キャンペーン最後の作品”かと……………

『 VERSACE DYLAN BLUE POUR FEMME 公式プロモーション ムービー / 監督 : ブルース ウェーバー ( 2017 ) 』

上記広告写真&プロモーション ムービーに共通する特徴。

❇️ 極めて“ストレートでシンプル”な映像表現。

❇️ 世界最先端のファッション フォトグラフ(ムービー)であるにも拘らず、そこはかとなく漂う“古き良きアメリカの雰囲気”。

❇️ “程良い緊張感と曖昧さが同居する”美しい世界観。

こんな映像美を確立出来るクリエイターは、21世紀の今日でさえ、“地球上でブルース ウェーバーさん只一人”ではないでしょーか?……………

世界中の若手ファッション フォトグラファーが改めて“お手本”とし、再考するべきファッション フォトグラファーの筆頭だと考えます。

例えば……………

変態オッサンにとって最近の小説や脚本は、“起.承.転.転.結”のストーリー テリングが多過ぎると感じますし、最近のファッション フォトグラフは、“過度なCGリタッチ”が多過ぎると日々感じております。つまり、常に何かが“余分”なのでありまして、“もっとストレートに表現して欲しい”と感じる機会が、ヒジョーに多いのであります。

対して……………

1980年代に黄金期を迎え、今尚“世界の頂点”に君臨し続けるブルース ウェーバーさんの様なクリエイターは、何故か“現代作家にはない香り”が致しますし、おそらくソレが、“一度嗅いだら忘れられない良い香り”なのだと思います。

ところで……………

他界した父親は生前「犬好きに悪い人は居ない。」と言っておりました。

『 トゥルーへの手紙 ( A Letter to True ) / 監督 : ブルース ウェーバー ( 2004 ) 』

( ブルース ウェーバーさんが、自らの愛犬に想いを綴った映画。)

❇️ “愛犬家”としても知られるブルース ウェーバーさんには、一日も早く“最前線”に戻って頂きたいと切に願います!

( 画像は全てネットから拝借。)

恋をするように服を作り、命まで捧げた男 ……

服飾や工業デザインetc.どのジャンルにも“奇才”と呼ばれるデザイナーが存在致しますが、御自身の会社(ブランド)なら未だしも、既存する会社(ブランド)の主任デザイナーとして、謂わば“枠を外れない程度に奇才ぶりを発揮する”のは、誠に困難を伴う過酷な任務だと考えます。

ましてや“長い伝統に裏付けされた名門”であるならば、“真の評価”は数十年後に決定する訳でありますから、ソノ意味で“歴史に名を残す奇才”とは、“限られたクリエイターを指し示す言葉”であるべきだと思います。

例えば、アレキサンダー マックイーンさん ( Alexander McQueen ) の様な……………

❇️ アレキサンダー マックイーンさん ( 本名 Lee Alexander McQueen : イギリス , 1969〜2010 )

1969年3月17日、ロンドン ダウンタウンで6人兄弟の末っ子として誕生したアレキサンダー マックイーンさん。

お父様はタクシー ドライバーだったとの事でありますが、ロンドンのタクシー ドライバーと云えば、“街の隅々まで知り尽くしたプロフェッショナル”として有名。故に採用試験も難関でありまして、男の子が“最初に憧れる職業の一つ”なんだとか。

16歳の時に、高校を辞めてサヴィル ロー ( Savile Row : ロンドン , オーダーメイド スーツの名店が揃うストリート ) のテーラーに弟子入り。ソノ後はロメオ ジリ ( ROMEO GIGLI : イタリア ) を経てロンドンに戻り、セントラル セント マーチンズ ( Central Saint Martins : ロンドン , 国立芸術大学 ) に入学。1992年、卒業コレクションでの発表作品が話題となり、1996年より「 ロンドン コレクション 」に参加。ほぼ同時期に、何と“ジバンシイ ( GIVENCHY : フランス )” の主任デザイナーに大抜擢!

“名門老舗メゾン”GIVENCHYの本流を守りながらも、斬新なアイディアと“超攻撃的な作風”で攻め続け、“モードの反逆児”と呼ばれる“スター デザイナー”に成長したアレキサンダー マックイーンさんは、34歳で女王陛下から「 大英帝国勲章 ( OBE ) 」を授与されます。

しかしながら、2010年2月11日に“若干40歳”で自ら命を絶ってしまいました……………

そんなアレキサンダー マックイーンさんの、余りにもドラマティックな人生を描いた映画 『 マックイーン : モードの反逆児 』が、我が国でもいよいよ“4月5日(金)”より公開されます。

因みに、遠藤憲一さんナレーションによる“日本版予告編”がヒジョーに素晴らしいので、本日は“日本版予告編”を御覧頂きたいと思います。

『 マックイーン : モードの反逆児 / 監督 : イアン ボノート、ピーター エテッドギー 2018 』


本作品のキャッチ コピーである「 恋をするように服を作り、命まで捧げた、ドラマより劇的な人生 」……………

アレキサンダー マックイーンさんを比喩する際に、コレ以上“相応しい表現”は無いのかも知れません。そして、コレ以上“悲しい表現”も無いように感じます。

■公開情報
『マックイーン:モードの反逆児』
4月5日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開決定
監督:イアン・ボノート、ピーター・エテッドギー
音楽:マイケル・ナイマン
出演:リー・アレキサンダー・マックイーン、イザベラ・ブロウ、トム・フォードほか
配給:キノフィルムズ
(c)Salon Galahad Ltd 2018

❇️ 大好きだったお母様との美しいツーショット写真。

お母様が他界された僅か数日後に、アレキサンダー マックイーンさんは自らお母様の元へ旅立たれました。

せめてもう少し、アレキサンダー マックイーンさんの御活躍を拝見したかった変態オッサンであります……………

( 画像は全てネットから拝借。)


余りにも魅力的なダークホース ……

2019年(第91回)のアメリカ「 アカデミー賞 」授賞式(結果発表式)が、現地時間2月24日に迫りました。

当ブログで昨年“パワー プッシュ”させて頂いた『 ボヘミアン ラプソディー ( Bohemian Rhapsody ) / 監督 : ブライアン シンガー 』は、我が国に於いても“予想外”の大ヒットを記録して、作品賞その他にノミネートされましたが、残念な事にブライアン シンガーさんの“セクハラ疑惑”が発覚。現時点で真偽の程は定かではありませんが、ココ数年ハリウッドが“セクハラ撲滅”に注力している点を考えると、“賞レース”からは後退したと考えるのが妥当かと思われます……………

ところで、当ブログは出来る限り“同じジャンルのトピック”が続かない様に心掛けておりますが、先日ニュースで改めて本年度の「 アカデミー賞 」ノミネート作品を拝見して、“とにかく気になって仕方ない作品”を発見してしまいました。

よって本日は、先週に引き続き“映画ネタ”をお届け致しますので、お付き合い頂ければ幸いです。

ソノ作品は……………

『 バイス ( VICE ) / 監督 : アダム マッケイ 』で御座います。

本作品は、ジョージ W ブッシュ政権で“影の大統領”と呼ばれ、良い意味でも悪い意味でも“スター政治家”となった、ディック チェイニー 元副大統領の謂わば“トゥルー ストーリー”であります。

“ホンモノ”のディック チェイニーさん ( 本名 Richard Bruce Cheney : アメリカ , 1941〜 )

先ずは、ブラッド ピットさん設立の「 プランBエンターテインメント ( Plan B Entertainment ) 社 」が製作会社として名を連ね、話題が先行した形となりましたが、本作品の魅力は何と言っても“出演俳優のなりきり度”で御座います。

そもそも主演が、“実力派の名優”クリスチャン ベールさんだって皆さんは分かりましたか?……………

“素”のクリスチャン ベールさん ( 本名 Christian Charles Philip Bale : イギリス , 1974〜 )

クリスチャン ベールさんと云えば、過去に『 マシニスト ( The Machinist ) / 監督 : ブラッド アンダーソン 2004 』で主人公を演じた際に、体重を“約30キロ”落として役に取り組み注目を集めましたが、今回は体重を“約20キロ”増やしての挑戦。

辛口の批評家さんは度々「ハリウッド映画はギャラが膨大なので、役作りの為に太ったり痩せたりしても、元の体重に戻る迄金銭的に保障されている。プロフェッショナルとしては当然の話。」と仰います。

但し、例え“数十億円”のギャラを貰ったとしても、20〜30キロ太ったり痩せたりする行為は、云う迄もなく“命懸け”であり、加えてルックスだけではなく、“凡ゆる意味で本人になりきる”のはヘヴィーこの上ない“荒業”に違いありません……………

おまけにクリスチャン ベールさんのみならず、サム ロックウェルさん ( Sam Rockwell : アメリカ , 1968〜 ) 演じるジョージ W ブッシュ 元大統領etc.と、全てのキャストが正に“本人を超えた怪演(?)”オンパレードなので御座います。

❇️ 変態オッサンの“独断と偏見”によるススメ。

欧米の映画に興味を持った若い世代の方、もしくは将来“映画監督”を目指している方は、アメリカの“「 アカデミー賞 」授賞作品”並びにフランスの“「 カンヌ映画祭 」授賞作品”を指針にして、独自の“映画観”を構築するのをオススメ致します。

何故なら、私自身がソレによって“映画の面白さ”を教えて頂いたと感じているからであります。

ところが、最近の「 アカデミー賞 」授賞作品は、“選定理由”に疑問符が付く作品が多く、明らかに“倦怠期真っ只中”だと思える節があります。

そこで、今後の「 アカデミー賞 」に新しい道を切り開く為にも……………

本年度は『 バイス ( VICE ) / 監督 : アダム マッケイ 』の様な作品に、是非とも主要各賞を授賞して頂きたいと切に願います!

『 バイス ( VICE ) / 監督 : アダム マッケイ ( ADAM McKAY ) 2018 』

❇️ 2019年4月5日(金曜日)、「 TOHOシネマズ日比谷 」他で全国一斉ロードショー。

( 画像は全てネットから拝借。)

揺るぎない表現主義 ……

パリに住んでいた1980年代、以前から好きだった映画監督ジャン リュック ゴダールさん ( Jean-Luc Godard : フランス , 1930〜 ) について周りのフランス人に訊いたところ「ゴダールはフランスの誇りだが、余りにも難解なので、フランス人ですら“極一部のインテリ層”しか理解出来ない。多くのフランス人は、ゴダール特有の“テンポ(間)”や“ヴィジュアル(映像)”を楽しんでいるだけだ。」との御意見多数でありました。

ヘアメイク時代の1996年、ポートフォリオ(作品)を持ってニューヨークのエージェントを廻った際、“某エージェント”で好きな映画監督を訊かれて、デヴィッド リンチさんと答えたら「リンチはアメリカが世界に誇るスター監督だが、“奇才”過ぎて一般受けしないのでメインストリーム(本流)にはなり得ない。但し、リンチ映画には“現代映画の根幹”となる部分が多く、全米の有名大学 映画学科で“教材”として採用されている。」……………

デヴィッド リンチさん ( 本名 David Keith Lynch : アメリカ , 1946〜 )

先日、ネットニュースを見ておりましたら“デヴィッド リンチ”という検索ワードが沸騰しておりました。私は“ひょっとして他界されたのかな?”と心配になり、慌てて調べましたら“デヴィッド リンチさん73歳バースデー”を祝う記事でした。

私と同世代(50代)の映画好きにとって、(“好き嫌い”は別として)デヴィッド リンチというブランドは、“特別なイメージ”を持って心に強く刻まれている気が致します。

『 インランド・エンパイア 』 ©2007 Bobkind Inc – STUDIOCANAL. All Rights Reserved.

『 ロスト・ハイウェイ <デジタル復元版> 』 ©1997 Lost highway Productions

『 マルホランド・ドライブ <デジタル復元版> 』 ©2001 STUDIOCANAL. All Rights Reserved.


私よりも若い世代にとっては、TVシリーズ『 ツイン ピークス ( Twin Peaks ) 1990〜1991 』のスタイリッシュな映像美こそ“デヴィッド リンチ ワールド”かと思われます。

しかしながら、私にとっての“デヴィッド リンチ ワールド”は、ストーリー テリングよりも“映像表現”に徹底して拘った上に、家庭用ビデオ カメラを使用したりetc.“常識に囚われない技法”で創造された、何とも“危険で妖麗な映像体験”で御座います。


ところで、デヴィッド リンチさんの映画論に関しましては、73歳のバースデーを機に“再考 デヴィッド リンチ”的な記事が映画専門サイトに多数投稿されておりますので、是非ともそちらを御覧頂きたいと思います。

そこで本日は、デヴィッド リンチさん“映画以外の御活躍”を御紹介致します。

“カルトの帝王”デヴィッド リンチさんは、写真家として写真集を出版されておりますし、ミュージシャン(主にプロデューサー、ヴォーカリスト)としてアルバムをリリースしたりと、多方面でマルチな才能を発揮されております。

写真集『 Nudes / David Lynch ( 2017 ) 』

アルバム『 The Big Dream / David Lynch ( 2013 ) 』

そして、本日“最大のオススメ商品”は……………

何とデヴィッド リンチさん御自身が、全身全霊で“焙煎並びに監修”したコーヒーで御座います(我が国でもネット通販その他で購入可能)。

コーヒー『 DAVID LYNCH Signature Cup Coffee / David Lynch ( 2008〜 ) 』

❇️ それでは最後に、変態オッサンが“心よりパワー プッシュ”致します“世界一怖いコーヒーCM”を御覧頂きます。

因みに最新作は、娘さんであるジェニファー リンチさんが監督されておりますが、敢えてデヴィッド リンチさん監督による旧作をどーぞ!

『 DAVID LYNCH Coffee CM / David Lynch ( 2008 ) 』

❇️ コノCMを観て、デヴィッド リンチさんのコーヒーが飲みたくなるか否かは“貴方次第”……………

( 画像は全てネットから拝借。)



London Calling ……

❇️ 1960年代のロンドンと云えば、当ブログでも何度か御紹介した『 BLOW – UP ( 邦題 : 欲望 ) イギリス、イタリア合作 / ミケランジェロ アントニオーニ監督 1967 』や……………

❇️ “ミニスカートの妖精”ツイッギーさん ( Twiggy : イギリス , 1949〜 ) や……………

❇️ “労働階級の若者”から発生した「 Mods ムーブメント ( ロンドン , 1950年代〜1960年代 ) 」や……………

❇️ 今更“説明不要のロック グループ”ビートルズ ( BEATLES : イギリス , 1957〜1970 ) ……………

上記は何も“ポップ カルチャー”として、ロンドンから発信されたコンテンツでありまして、当時の世界中を見渡しても極めて“オリジナリティー溢れる”象徴的なコンテンツ(ムーブメント)で御座いました。

よって、世界中の若者に何らかの影響を与え続けたロンドンは、“最も影響力がある都市”として世界中に知れ渡り、ファッション、音楽、ライフ スタイル、思想に於ける先進都市としてソノ後長期間に渡って君臨致します。

つまり、“新しい風”は常にロンドンから吹いて来たのでありました。

そんな“ロンドンが熱かった時代”を知る上で貴重な資料であり、かつ娯楽性に富んだ話題作が、2019年早々に我が国でも公開されます。

『 My Generation ( 邦題 : マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!) イギリス / デビッド バッティ監督 2017 』

出演 : ビートルズ(ポール・マッカートニー&ジョン・レノン)、ローリング・ストーンズ、ザ・フー、マリアンヌ・フェイスフル、ツィギー、デイヴィッド・ベイリー、メアリー・クワント、ジョン・レノン、デイヴィッド・ボウイ、ヴィダル・サスーン、デイヴィッド・ホックニー、ジョーン・コリンス、サンディ・ショウ……………

❇️ 2019年1/5(土)よりロードショー ( Bunkamura ル・シネマ他 )。

誠に失礼ながら勉強不足な私は、“デビッド バッティ ( David Batty ) さん”と聞いても“元サッカー選手”しか思い浮かびませんので、イギリス人メル友に尋ねましたところ「BBCのドキュメンタリー番組でケッコー有名な監督だよ。」との御言葉。

ひょっとしたら今後、ブレイク必至の“新進気鋭監督”かも知れません……………

ところで、本作品。

“プロデューサー兼主演”を、イギリスの名優マイケル ケインさん ( Michael Caine , CBE : イギリス , 1933〜 ) が担当されております。

マイケル ケインさんは所謂“名作(傑作)”ばかりではなく、多くの“珍作(怪作)”にも御出演され、女王陛下から“大英帝国勲章並びにナイト称号”を授与された、正に“イギリスを代表する名優”であります。

因みにマイケル ケインさんは、ロンドン生まれロンドン育ちで御座いますので、“実体験を有したストーリー テラー”であり、本作品の“プロデューサー兼主演”は実に適任かと思われます。

出演者はロック スターやモデルばかりではなく、“巨匠ファッション フォトグラファー”のデイヴィッド ベイリーさんや、“地球一有名なヘアドレッサー”ヴィダル サッスーンさんetc.何とも豪華絢爛。映画の枠を超えた“文化&ファッション教材”としても有益な逸品。

但し、強く感じるのは“50年後の未来から現代を顧みた時、はたして“こんなにも刺激的で輝いているのか?”という疑問……………

何れにせよ、是非とも御覧頂きたい作品で御座います!

https://youtu.be/qVAr6Iv5kSc

『 My Generation ー Official Trailer ー ( 2017 ) 』

❇️ 1981年、ロンドン。

“ニュー ロマンティック全盛期”のロンドンを訪れた変態オッサン。オシャレな男女が皆んな“眉毛を剃っていた”のを見て、“コレしかない”と早速ホテルで両眉毛を剃り、夜のロンドンに颯爽と繰り出しました。

ロンドン滞在中はさておき、東京に戻って以降の数ヶ月間“ヒジョーに恥ずかしかった”のは言うまでもありません……………

( 画像は全てネットから拝借。)


破壊衝動は創造衝動 ……

現代的には多少“不謹慎な表現”ではありますが、1960年〜1980年代に“映画のテロリスト”と呼ばれたジャン リュック ゴダールさんにつきましては、今更説明の必要もないかと思われます……………

 

ジャン リュック ゴダールさん [ Jean-Luc Godard ( 別名義 Hans Lucas )  : フランス並びにスイス国籍 , 1930〜 ]

 

 

“ヌーヴェルバーグ(ニューウェーブ)の騎手”としてフランス映画界を牽引し、世界中の映画監督に多大な影響を与えたジャン リュック ゴダールさんは、所謂“アヴァンギャルド”なイメージ満載でありますが、2002年には我が国の「 高松宮殿下記念 世界文化賞 」を受賞しており、名実共に“現代を代表する偉大なアーティスト”で御座います。

 

しかしながら、1980年代に私がパリで実感した“予想外な実態”は……………

 

❇️ 1 ) 実は“ゴダールはフランスの誇り”と言いながらも、“ゴダール作品を1本も観た事がないフランス人”が多い。

❇️ 2 ) 実は“極一部のインテリ層フランス人”しか作品内容を理解していない。

 

つまり、自国でさえ“大衆改革”を成し遂げておらず、決して“映画のテロリスト”とは言い難いのが現実であります。

 

 

『 Le Mépris ( 軽蔑 ) / 監督 : Jean-Luc Godard  1963 』

 

『 Made in USA ( メイド イン USA ) / 監督 : Jean-Luc Godard  1966 』

 

 

先日、以前からチョット気になっていた“正体不明のアーティスト”が、“本物のアート テロ”とも云えるデモンストレーションを敢行致しましたが、何故かジャパンでは話題になっておりません(以下引用)。

 

 

【 1.5億円で落札の絵がシュレッダーに 作者の反応は… 】( 朝日新聞 DIGITAL )

素性が知られていない著名なストリートアーティスト、バンクシーの代表作がロンドンでオークションにかけられ、約104万ポンド(約1億5500万円)で落札された。だが、その直後、絵画が勝手に動き始め――。5日にロンドンであった競売大手サザビーズのオークションには、赤い風船に手を伸ばす少女が描かれた2006年の絵画が出品され、バンクシーの作品では過去最高額に並ぶ104万2千ポンドで落札された。

だが、落札直後、作品が突然、自動的に額縁からすり抜けて下側に動き始め、細かく裁断された状態に。バンクシーは自身のインスタグラムに動画を投稿し、「数年前に内密にシュレッダーを仕込んでいた」と種明かしした。サザビーズの担当者は「どうやら私たちは『バンクシーされた』ようだ」と声明を発表。ただ、事前に裁断を知っていたのかなどは明らかにしていない。バンクシーは投稿した動画に、ピカソの言葉を引用してこんなメッセージも載せた。「破壊衝動は創造衝動でもある」と。( 2018年10月8日 )

 

 

キース へリングさん ( Keith Haring : アメリカ , 1958〜1990 ) やジャン ミシェル バスキアさん ( Jean-Michel Basquiat : アメリカ , 1960〜1988 ) がかつてそうだった様に、バンクシーさん ( Banksy : 国籍 , 年齢 , その他一切非公開 )も“グラフィティ(違法街頭落書き)”からスタートし、ロンドンを中心に活動するストリート アーティストでありますが、バンクシーさんの特徴は“覆面芸術家”を徹底している点で御座います。

故に正体は“某ロックバンドのフロントマン説”とか、“イスラエル在住イギリス人説”とか、1人ではなく“5〜6人の芸術集団説”とか、ミステリアスな魅力は更に拡がり続けております……………

 

 

『 無政府主義のネズミ 』

 

『 バスルームの窓からぶら下がる裸の男 』

 

『 分離壁に描かれた絵 』

 

 

“社会風刺”がバンクシーさんのメインテーマでありますが、「 メトロポリタン美術館 ( ニューヨーク ) 」の様な有名美術館に“無断展示”したり、大手CDショップに“無断陳列”したりと、ソノ表現手段は多種多様の反則技。

活動範囲に関しましても“イギリス〜アメリカ〜中東etc.”と誠にワールドワイドであり、正に“史上最強のストリート アーティスト”で御座います。

 

 

『 少女と爆弾 』

 

『 ネズミ 』

 

『 倒れるまで買う 』

 

 

❇️ 因みに、今回の「 サザビーズ バンクシー シュレッダー事件 ( 仮称 ) 」……………

サザビーズと云えば“超一流オークション ハウス”。そんなサザビーズのスタッフが、“シュレッダーが仕込まれた怪しい額縁”に気付かないハズはなく、加えて、ハンマー プライスと同時にシュレッダーをスタートする為には、“バンクシーさん自身が会場で遠隔操作した”と考えるのが妥当であります。

つまり、「最初から“シュレッダー粉砕ありき”のオークションだった。」と私は確信しております。

 

 

https://youtu.be/yit_w_glmv4

『 1億5000万円超の絵画がシュレッダーに  ( 2018 ) 』

 

 

ところで、“某女優さんとの熱愛報道”で話題沸騰中の“某社長”さんは、過去に“数百億円”でバスキアさんの作品を落札した後、インタビューで「世界平和に貢献した。」と仰っていた気が致します。

確かに“超高額購入”によって市場は刺激されますし、多くの方々に“喜びと驚き”を提供したのは間違いありませんが、例えば“同額を難民に寄付”した方が遥かに世界平和に貢献出来たのでは?と、失礼ながらヒジョーに違和感を感じました……………

 

バンクシーさんの“反骨精神溢れる芸術作品”が、“ああいう方々”に高額購入されない事を願う変態オッサンで御座いました!

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

ニューヨークのベルギー人 ……

2015年春。

我が国では無名に近い監督による“あるドキュメント映画”が公開されました。

世界的に良く知られたイベントの“制作過程”を描いたソノ作品は、登場する業界に興味がない方々の間でもケッコーな話題となり、チョット不思議な現象を巻き起こしたのを覚えております……………

 

 

『 Dior and I ( ディオールと私 ) / 監督 : Frederic Tcheng  , 2015 』

 

 

所謂“業界の裏側”にフォーカスしたドキュメンタリーは、過去にも数多く存在致しますが、本作品が“予想外に一般受けした”背景には以下の理由があると考えられます。

 

❇️ 1 ) “Christian  Dior ( クリスチャン ディオール )”という知名度が高い“老舗 名門メゾン”がテーマである。

❇️ 2 ) “オートクチュール ( 超高級 注文服 )”という“世間離れした世界”に触れられる。

❇️ 3 ) “表舞台の華やかさ”ばかりではなくデザイナー、縫製係、演出スタッフetc.の苦悩と情熱が丁寧に表現されている。

 

 

ところで上記作品の“主人公”は、2012年にChristian Diorのクリエイティブ ディレクターに就任したラフ シモンズさん ( Raf Simons : ベルギー , 1968〜 ) であります。

 

 

 

 

ラフ シモンズさんは大学で工業デザイン、映像、写真を学び、卒業後は“インテリア デザイナー”としてキャリアを重ねますが、同じベルギー人の有名ファッション デザイナーであるマルタン マルジェラさん ( Martin Margiela : ベルギー , 1957〜 ) に触発されて、“一流デザイナー製造工場”と呼ばれる「 アントワープ 王立美術アカデミー 」の入学を試みますが、学校側から「ウチに入学するよりも、資金援助しますから“御自身のブランドを設立”されては?」と促されてしまいます。

よって、1995年に自身のシグネチャー ブランド「 Raf Simons 」を設立してしまった“破格の天才”なので御座います。

紆余曲折の後、Jill Sander ( ジル サンダー ) を経てChristian Dior入りしたラフ シモンズさんにとって、 Christian Diorのクリエイティブ ディレクターは正に“天職”かと思われました。故に『  Dior and I 』公開後のChristian Diorは、ラフ シモンズさんによる“長期 安定政権”に突入したものと信じて疑いませんでしたが……………

 

何と“僅か3年”で電撃辞任してしまい、次に向かった先はChristian Diorとは真逆に位置する、“世界一の機能美”Calvin Klein ( カルバン クライン ) IN アメリカで御座いました!

しかも、Calvin Kleinのチーフ クリエイティブ オフィサー3年目にして、今回の「 New York Collection 」モチーフは余りにも意外(以下引用)。

 

 

【 着想源は「ジョーズ」 ラフの「CK」はあらゆる対立構造を飲み込み“コンテクスト主義”を提唱 】( WWD JAPAN.com )

ベルギーで生まれ、長らくヨーロッパで活躍してきたラフ・シモンズ(Raf Simons)は、「カルバン クライン(CALVIN KLEIN.以下、CK)」のチーフ・クリエイティブ・オフィサー就任を機にアメリカに移住。以降、異国人として、もっともアメリカンなブランドの刷新に挑み、マーチングバンドや警官の制服、それにチアガールのポンポンやカウボーイのブーツなどのアメリカンアイコンを彼のミニマルな世界観に取り込み、それをデヴィッド・ボウイ(David Bowie)の「This Is Not America」にのせて発表するなど、アメリカ的な世界と非アメリカ的な世界を融合することで「CK」の国際化に取り組んでいる。

今シーズンは、スティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)の映画「ジョーズ」と、チャールズ・ウェッブ(Charles Webb)の小説を原作とした映画「卒業」の2つがインスピレーション源という。( 2018年9月17日 )

 

 

 

『 Calvin Klein ー Spring / Summer 2019 ー New York Collection 』

 

 

「 ジョーズ 」は主に“パニック映画”としてカテゴライズされますが、巨大で不気味なサメを“困難ながらも立ち向かうべき権力”と見なせば、“反体制”をテーマにしたヒューマン ドラマであるとも云えます。

一方の「 卒業 」も、有名過ぎるラスト シーンを“アナーキーな倫理観”の象徴と捉えれば、「 ジョーズ 」同様の“反体制”をテーマにしたヒューマン ドラマとしての解釈が可能で御座います。

 

 

『 JAWS / 監督 : スティーブン スピルバーグ , 1975 』

 

『 THE GRADUATE ( 卒業 ) / 監督 : マイク ニコルズ , 1967 』

 

 

“コッテコテのヨーロッパ人”であるラフ シモンズさんから見れば、“トランプさん政権下のアメリカ”は、おそらく奇妙キテレツで同調しかねる部分が多いのだと推測されますが、全てを受け入れて“ニューヨークのベルギー人”であろうとするラフ シモンズさん。

 

 

 

 

『 Calvin Klein ー Spring / Summer 2019 ー New York Collection 』

 

 

1996年冬。

エージェントから提示された条件「当面の生活費5万ドルを自前で用意する事。」が満たせず、“ニューヨークの日本人”になれなかった変態オッサン……………

 

“アメリカで闘い続ける”ラフ シモンズさんに、心よりエールを送らせて頂きたいと思います!

 

 

https://youtu.be/CMOhk3ufVN8

『 Calvin Klein ー Spring / Summer 2019 ー New York Collection 』

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)