イメージは雄弁に語る ……

1980年代、パリでのお話。

TVで拝見したPORSCHEさんCMに、思わず目が釘付けになってしまった私……………

 

ソノCMは、高速走行する『 PORSCHE 911 』の激しく揺れる“リヤ ウイングのみ”をクローズアップで捉えており、ナレーションもBGMも文字情報も一切無し。当時は空冷式だった『 PORSCHE 911 』の乾いたエンジン音だけが大音量で響き渡り、最後に画面がブラック アウトすると、中央にシンプルな字体で“PORSCHE、誰にも似ていない”と表示されました。

渡仏前に自動車メーカーさんCMを何度もやらせて頂きましたが、我が国の自動車メーカーさんCMは、どちらかと云えば俳優さんをメインとした作品や、スペック等のアピール ポイントを説明する作品が殆どでありました……………

“イメージのみ”で完結した上に、“PORSCHE”と云う自動車メーカーの特徴を充分に表現したコノ秀逸なCMは、私にとって正にエポックメイキングな企業広告で御座いました。

 

帰国後に某自動車メーカーさんスタッフとお酒を御一緒した席で、例の『 PORSCHE 911 』CMについてお話をしましたら、広報のお方曰く「ウチもヨーロッパ向けCMでは“イメージ寄りの作品”を展開しておりますが、国内向けCMでソレをやってしまうと、株主さんや下請け企業さんから“もっと分かり易いCMを作って欲しい”と言われてしまうんですよ。」との御言葉……………

ジャパンとヨーロッパでは広告を取り巻く環境が著しく違いますし、世界的なCM(広告)コンペティションに於いて、見事にグランプリを獲得したジャパニーズCM(広告)も数多く存在致します。よって双方を単純に比較して云々するべき事柄では御座いません。但し“自動車CM”に関する限りは、俳優さんの魅力を前面に押し出したり、あるいはアピール ポイントを詳しく説明するジャパニーズCMを見慣れた方々にとって、ヨーロッパ自動車メーカーさんCMは、極めて新鮮に感じられるかと思います。

そこで本日は、そんな“イメージCM模範例”を御紹介致します……………

 

『 PORSCHE 911R 』

時代は随分と変わりましたが、やはりPORSCHEさんCMのインパクトは相変わらず鮮烈であります。特に“宇宙一強力なブレーキ”と呼ばれるストッピング パワーと、“RR(リヤエンジン、リヤドライブ)”のメリットを最大限に発揮したロケットスタートにより、『 PORSCHE 911R 』の魅力を巧みに表現した作品で御座います。

 

『 Mercedes-Benz SLK 』

ニコ ロズベルグさん(元F1 ワールド チャンピオン)を起用した本作品は、“映画仕立ての艶っぽい演出”を用いながら、運動性能上最大の基本である“走る、曲がる、止まる”をスタイリッシュに表現しております。

 

『 BMW M4 』

ジャパンだったら間違いなく“危険運転を誘発する”との理由で、大問題となってしまう“誠にスキャンダラスな作品”で御座います。過去に当ブログでも取り上げましたが、BMWさんは今やAppleさんと並ぶ“世界で最も進歩的な企業”の感があり、豪華絢爛な製作陣を使ったショート ムービーやユーモラスな広告写真のアプローチを見る限り、“表現力とイメージングに長けた企業の代表格”と言っても過言ではありません。

 

 

 

結局のところ、詳しく説明するよりも“イメージ”で五感に訴えた方が、ポリシーがより明確に伝わるのが自動車(特にスポーツカー)広告であると、改めて実感した訳でありますが、“ブランド イメージを決定するのは、企業側ではなくお客様(消費者)側である”点をPORSCHEさん、Mercedes-Benzさん、BMWさんは良〜〜く解っていらっしゃるんだと思われます。

 

ところで以下の広告は、2014年にケッコー話題となったBMWさん広告であります。

“パチモン(BMVV)ではなく、BMW純正パーツのみ御使用下さい”というメッセージを、“遊び心満載”で表現した実に愉快な企業広告かと……………

 

 

最後に、BMWさんへ変態オッサンから“切実な御願い”が御座います!

“純正パーツのお値段”を、もーチョットお安くして頂けませんか?……………

 

 

 

 

( 写真は全てネットから拝借。)