揺るぎない表現主義 ……

パリに住んでいた1980年代、以前から好きだった映画監督ジャン リュック ゴダールさん ( Jean-Luc Godard : フランス , 1930〜 ) について周りのフランス人に訊いたところ「ゴダールはフランスの誇りだが、余りにも難解なので、フランス人ですら“極一部のインテリ層”しか理解出来ない。多くのフランス人は、ゴダール特有の“テンポ(間)”や“ヴィジュアル(映像)”を楽しんでいるだけだ。」との御意見多数でありました。

ヘアメイク時代の1996年、ポートフォリオ(作品)を持ってニューヨークのエージェントを廻った際、“某エージェント”で好きな映画監督を訊かれて、デヴィッド リンチさんと答えたら「リンチはアメリカが世界に誇るスター監督だが、“奇才”過ぎて一般受けしないのでメインストリーム(本流)にはなり得ない。但し、リンチ映画には“現代映画の根幹”となる部分が多く、全米の有名大学 映画学科で“教材”として採用されている。」……………

デヴィッド リンチさん ( 本名 David Keith Lynch : アメリカ , 1946〜 )

先日、ネットニュースを見ておりましたら“デヴィッド リンチ”という検索ワードが沸騰しておりました。私は“ひょっとして他界されたのかな?”と心配になり、慌てて調べましたら“デヴィッド リンチさん73歳バースデー”を祝う記事でした。

私と同世代(50代)の映画好きにとって、(“好き嫌い”は別として)デヴィッド リンチというブランドは、“特別なイメージ”を持って心に強く刻まれている気が致します。

『 インランド・エンパイア 』 ©2007 Bobkind Inc – STUDIOCANAL. All Rights Reserved.

『 ロスト・ハイウェイ <デジタル復元版> 』 ©1997 Lost highway Productions

『 マルホランド・ドライブ <デジタル復元版> 』 ©2001 STUDIOCANAL. All Rights Reserved.


私よりも若い世代にとっては、TVシリーズ『 ツイン ピークス ( Twin Peaks ) 1990〜1991 』のスタイリッシュな映像美こそ“デヴィッド リンチ ワールド”かと思われます。

しかしながら、私にとっての“デヴィッド リンチ ワールド”は、ストーリー テリングよりも“映像表現”に徹底して拘った上に、家庭用ビデオ カメラを使用したりetc.“常識に囚われない技法”で創造された、何とも“危険で妖麗な映像体験”で御座います。


ところで、デヴィッド リンチさんの映画論に関しましては、73歳のバースデーを機に“再考 デヴィッド リンチ”的な記事が映画専門サイトに多数投稿されておりますので、是非ともそちらを御覧頂きたいと思います。

そこで本日は、デヴィッド リンチさん“映画以外の御活躍”を御紹介致します。

“カルトの帝王”デヴィッド リンチさんは、写真家として写真集を出版されておりますし、ミュージシャン(主にプロデューサー、ヴォーカリスト)としてアルバムをリリースしたりと、多方面でマルチな才能を発揮されております。

写真集『 Nudes / David Lynch ( 2017 ) 』

アルバム『 The Big Dream / David Lynch ( 2013 ) 』

そして、本日“最大のオススメ商品”は……………

何とデヴィッド リンチさん御自身が、全身全霊で“焙煎並びに監修”したコーヒーで御座います(我が国でもネット通販その他で購入可能)。

コーヒー『 DAVID LYNCH Signature Cup Coffee / David Lynch ( 2008〜 ) 』

❇️ それでは最後に、変態オッサンが“心よりパワー プッシュ”致します“世界一怖いコーヒーCM”を御覧頂きます。

因みに最新作は、娘さんであるジェニファー リンチさんが監督されておりますが、敢えてデヴィッド リンチさん監督による旧作をどーぞ!

『 DAVID LYNCH Coffee CM / David Lynch ( 2008 ) 』

❇️ コノCMを観て、デヴィッド リンチさんのコーヒーが飲みたくなるか否かは“貴方次第”……………

( 画像は全てネットから拝借。)



破壊衝動は創造衝動 ……

現代的には多少“不謹慎な表現”ではありますが、1960年〜1980年代に“映画のテロリスト”と呼ばれたジャン リュック ゴダールさんにつきましては、今更説明の必要もないかと思われます……………

 

ジャン リュック ゴダールさん [ Jean-Luc Godard ( 別名義 Hans Lucas )  : フランス並びにスイス国籍 , 1930〜 ]

 

 

“ヌーヴェルバーグ(ニューウェーブ)の騎手”としてフランス映画界を牽引し、世界中の映画監督に多大な影響を与えたジャン リュック ゴダールさんは、所謂“アヴァンギャルド”なイメージ満載でありますが、2002年には我が国の「 高松宮殿下記念 世界文化賞 」を受賞しており、名実共に“現代を代表する偉大なアーティスト”で御座います。

 

しかしながら、1980年代に私がパリで実感した“予想外な実態”は……………

 

❇️ 1 ) 実は“ゴダールはフランスの誇り”と言いながらも、“ゴダール作品を1本も観た事がないフランス人”が多い。

❇️ 2 ) 実は“極一部のインテリ層フランス人”しか作品内容を理解していない。

 

つまり、自国でさえ“大衆改革”を成し遂げておらず、決して“映画のテロリスト”とは言い難いのが現実であります。

 

 

『 Le Mépris ( 軽蔑 ) / 監督 : Jean-Luc Godard  1963 』

 

『 Made in USA ( メイド イン USA ) / 監督 : Jean-Luc Godard  1966 』

 

 

先日、以前からチョット気になっていた“正体不明のアーティスト”が、“本物のアート テロ”とも云えるデモンストレーションを敢行致しましたが、何故かジャパンでは話題になっておりません(以下引用)。

 

 

【 1.5億円で落札の絵がシュレッダーに 作者の反応は… 】( 朝日新聞 DIGITAL )

素性が知られていない著名なストリートアーティスト、バンクシーの代表作がロンドンでオークションにかけられ、約104万ポンド(約1億5500万円)で落札された。だが、その直後、絵画が勝手に動き始め――。5日にロンドンであった競売大手サザビーズのオークションには、赤い風船に手を伸ばす少女が描かれた2006年の絵画が出品され、バンクシーの作品では過去最高額に並ぶ104万2千ポンドで落札された。

だが、落札直後、作品が突然、自動的に額縁からすり抜けて下側に動き始め、細かく裁断された状態に。バンクシーは自身のインスタグラムに動画を投稿し、「数年前に内密にシュレッダーを仕込んでいた」と種明かしした。サザビーズの担当者は「どうやら私たちは『バンクシーされた』ようだ」と声明を発表。ただ、事前に裁断を知っていたのかなどは明らかにしていない。バンクシーは投稿した動画に、ピカソの言葉を引用してこんなメッセージも載せた。「破壊衝動は創造衝動でもある」と。( 2018年10月8日 )

 

 

キース へリングさん ( Keith Haring : アメリカ , 1958〜1990 ) やジャン ミシェル バスキアさん ( Jean-Michel Basquiat : アメリカ , 1960〜1988 ) がかつてそうだった様に、バンクシーさん ( Banksy : 国籍 , 年齢 , その他一切非公開 )も“グラフィティ(違法街頭落書き)”からスタートし、ロンドンを中心に活動するストリート アーティストでありますが、バンクシーさんの特徴は“覆面芸術家”を徹底している点で御座います。

故に正体は“某ロックバンドのフロントマン説”とか、“イスラエル在住イギリス人説”とか、1人ではなく“5〜6人の芸術集団説”とか、ミステリアスな魅力は更に拡がり続けております……………

 

 

『 無政府主義のネズミ 』

 

『 バスルームの窓からぶら下がる裸の男 』

 

『 分離壁に描かれた絵 』

 

 

“社会風刺”がバンクシーさんのメインテーマでありますが、「 メトロポリタン美術館 ( ニューヨーク ) 」の様な有名美術館に“無断展示”したり、大手CDショップに“無断陳列”したりと、ソノ表現手段は多種多様の反則技。

活動範囲に関しましても“イギリス〜アメリカ〜中東etc.”と誠にワールドワイドであり、正に“史上最強のストリート アーティスト”で御座います。

 

 

『 少女と爆弾 』

 

『 ネズミ 』

 

『 倒れるまで買う 』

 

 

❇️ 因みに、今回の「 サザビーズ バンクシー シュレッダー事件 ( 仮称 ) 」……………

サザビーズと云えば“超一流オークション ハウス”。そんなサザビーズのスタッフが、“シュレッダーが仕込まれた怪しい額縁”に気付かないハズはなく、加えて、ハンマー プライスと同時にシュレッダーをスタートする為には、“バンクシーさん自身が会場で遠隔操作した”と考えるのが妥当であります。

つまり、「最初から“シュレッダー粉砕ありき”のオークションだった。」と私は確信しております。

 

 

『 1億5000万円超の絵画がシュレッダーに  ( 2018 ) 』

 

 

ところで、“某女優さんとの熱愛報道”で話題沸騰中の“某社長”さんは、過去に“数百億円”でバスキアさんの作品を落札した後、インタビューで「世界平和に貢献した。」と仰っていた気が致します。

確かに“超高額購入”によって市場は刺激されますし、多くの方々に“喜びと驚き”を提供したのは間違いありませんが、例えば“同額を難民に寄付”した方が遥かに世界平和に貢献出来たのでは?と、失礼ながらヒジョーに違和感を感じました……………

 

バンクシーさんの“反骨精神溢れる芸術作品”が、“ああいう方々”に高額購入されない事を願う変態オッサンで御座いました!

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)