夢・夢のあと …… 追悼 高田賢三様。

中学生時代(70年代後半)、レッド ツェッペリンやデヴィッド ボウイ等“洋楽ロック”を通してファッションに興味を持った私ですが、当時の私にとってロックやファッションは即ち“白人文化”そのものであり、間違っても“アジア人(日本人)”は一生進出不可能なジャンルだと思っておりました。

ところがある日、KENZO TAKADA(高田賢三)さんという日本人が“モードの本場パリで大活躍している”というドキュメント番組を見て、ヒジョーに衝撃を受けました。しかも、作風はかつて見た事も無い民族調(アジア、アフリカetc.)、おまけに“ド派手でファンキーな色柄”にも拘らず、基盤はトラディショナルで極めて上品。“こんな凄い日本人が居るんだ?” と本当に驚きました。

“高田賢三さん並びにKENZOブランド”に興味を持った私は、ヘアメイクを目指して上京しますが朝食はパン一枚、夕食はインスタントラーメンで仕送りを節約し、年2回の西武デパート バーゲンで高田賢三さんの服を買う生活。しかしながらKENZOブランドに限らず、当時の有名デザイナーズ ブランドはメンズラインを展開していない場合が多く、したがって“メンズっぽいレディース クローズ”を毎回購入しておりました。

今にして思えば、当時の私は“感覚、気力、体力”が充実しておりましたので、色々な運が回って来た様に感じます。ヘアメイクになって2年後、パリの有名ヘアサロン兼ヘアデザイナー エージェンシーに所属するだけでもラッキーなのに、師匠が高田賢三さんと公私に渡って付き合いがあり、何と高田賢三さんのパリコレでヘアを担当させて頂いたり、お酒やお食事をご馳走になったり……………

私が帰国後も、東京にいらした時には何度かお会いして食事したり、クラブに御一緒したりと、楽しい思い出が沢山あります。

Kenzo in Paris, 1994.

大きな家に住み、PORSCHEを乗り回して“有頂天”になっていた私はやがて破産廃業し、ソノ後はスッカリ疎遠になってしまいましたが、LVMH(ルイ ヴィトン モエ ヘネシー グループ)に会社を売却したとか、“約25億円で建設した豪邸を手放した”とか、“酔っ払い運転で公道を逆走して逮捕された”とか、現役を引退したとか、復帰して会社を設立したとか、高田賢三さんの情報は常に気になっておりました……………

❇️ “天下のサンローラン”からパリコレの大トリを奪った男。

❇️ “フォークロア(民族調)、スーパーレイヤード(重ね着)”を普及させた男。

❇️ “コットンの価値”を再認識させた男。

「例え同じ素材、同じ染料、同じ型紙を使ってもパリと東京では全く同じになる訳がないよ。だってパリと東京では“空の色”が違うもの。」と仰った高田賢三さん。

多くの日本人クリエイターがパリに魅了されましたが、高田賢三さん程“パリから愛された日本人”はもう2度と現れないと思います。

心より御冥福をお祈り致します。

そして、本当に有難う御座いました!

( 画像は全てネットから拝借。)

破壊衝動は創造衝動 ……

現代的には多少“不謹慎な表現”ではありますが、1960年〜1980年代に“映画のテロリスト”と呼ばれたジャン リュック ゴダールさんにつきましては、今更説明の必要もないかと思われます……………

 

ジャン リュック ゴダールさん [ Jean-Luc Godard ( 別名義 Hans Lucas )  : フランス並びにスイス国籍 , 1930〜 ]

 

 

“ヌーヴェルバーグ(ニューウェーブ)の騎手”としてフランス映画界を牽引し、世界中の映画監督に多大な影響を与えたジャン リュック ゴダールさんは、所謂“アヴァンギャルド”なイメージ満載でありますが、2002年には我が国の「 高松宮殿下記念 世界文化賞 」を受賞しており、名実共に“現代を代表する偉大なアーティスト”で御座います。

 

しかしながら、1980年代に私がパリで実感した“予想外な実態”は……………

 

❇️ 1 ) 実は“ゴダールはフランスの誇り”と言いながらも、“ゴダール作品を1本も観た事がないフランス人”が多い。

❇️ 2 ) 実は“極一部のインテリ層フランス人”しか作品内容を理解していない。

 

つまり、自国でさえ“大衆改革”を成し遂げておらず、決して“映画のテロリスト”とは言い難いのが現実であります。

 

 

『 Le Mépris ( 軽蔑 ) / 監督 : Jean-Luc Godard  1963 』

 

『 Made in USA ( メイド イン USA ) / 監督 : Jean-Luc Godard  1966 』

 

 

先日、以前からチョット気になっていた“正体不明のアーティスト”が、“本物のアート テロ”とも云えるデモンストレーションを敢行致しましたが、何故かジャパンでは話題になっておりません(以下引用)。

 

 

【 1.5億円で落札の絵がシュレッダーに 作者の反応は… 】( 朝日新聞 DIGITAL )

素性が知られていない著名なストリートアーティスト、バンクシーの代表作がロンドンでオークションにかけられ、約104万ポンド(約1億5500万円)で落札された。だが、その直後、絵画が勝手に動き始め――。5日にロンドンであった競売大手サザビーズのオークションには、赤い風船に手を伸ばす少女が描かれた2006年の絵画が出品され、バンクシーの作品では過去最高額に並ぶ104万2千ポンドで落札された。

だが、落札直後、作品が突然、自動的に額縁からすり抜けて下側に動き始め、細かく裁断された状態に。バンクシーは自身のインスタグラムに動画を投稿し、「数年前に内密にシュレッダーを仕込んでいた」と種明かしした。サザビーズの担当者は「どうやら私たちは『バンクシーされた』ようだ」と声明を発表。ただ、事前に裁断を知っていたのかなどは明らかにしていない。バンクシーは投稿した動画に、ピカソの言葉を引用してこんなメッセージも載せた。「破壊衝動は創造衝動でもある」と。( 2018年10月8日 )

 

 

キース へリングさん ( Keith Haring : アメリカ , 1958〜1990 ) やジャン ミシェル バスキアさん ( Jean-Michel Basquiat : アメリカ , 1960〜1988 ) がかつてそうだった様に、バンクシーさん ( Banksy : 国籍 , 年齢 , その他一切非公開 )も“グラフィティ(違法街頭落書き)”からスタートし、ロンドンを中心に活動するストリート アーティストでありますが、バンクシーさんの特徴は“覆面芸術家”を徹底している点で御座います。

故に正体は“某ロックバンドのフロントマン説”とか、“イスラエル在住イギリス人説”とか、1人ではなく“5〜6人の芸術集団説”とか、ミステリアスな魅力は更に拡がり続けております……………

 

 

『 無政府主義のネズミ 』

 

『 バスルームの窓からぶら下がる裸の男 』

 

『 分離壁に描かれた絵 』

 

 

“社会風刺”がバンクシーさんのメインテーマでありますが、「 メトロポリタン美術館 ( ニューヨーク ) 」の様な有名美術館に“無断展示”したり、大手CDショップに“無断陳列”したりと、ソノ表現手段は多種多様の反則技。

活動範囲に関しましても“イギリス〜アメリカ〜中東etc.”と誠にワールドワイドであり、正に“史上最強のストリート アーティスト”で御座います。

 

 

『 少女と爆弾 』

 

『 ネズミ 』

 

『 倒れるまで買う 』

 

 

❇️ 因みに、今回の「 サザビーズ バンクシー シュレッダー事件 ( 仮称 ) 」……………

サザビーズと云えば“超一流オークション ハウス”。そんなサザビーズのスタッフが、“シュレッダーが仕込まれた怪しい額縁”に気付かないハズはなく、加えて、ハンマー プライスと同時にシュレッダーをスタートする為には、“バンクシーさん自身が会場で遠隔操作した”と考えるのが妥当であります。

つまり、「最初から“シュレッダー粉砕ありき”のオークションだった。」と私は確信しております。

 

 

https://youtu.be/yit_w_glmv4

『 1億5000万円超の絵画がシュレッダーに  ( 2018 ) 』

 

 

ところで、“某女優さんとの熱愛報道”で話題沸騰中の“某社長”さんは、過去に“数百億円”でバスキアさんの作品を落札した後、インタビューで「世界平和に貢献した。」と仰っていた気が致します。

確かに“超高額購入”によって市場は刺激されますし、多くの方々に“喜びと驚き”を提供したのは間違いありませんが、例えば“同額を難民に寄付”した方が遥かに世界平和に貢献出来たのでは?と、失礼ながらヒジョーに違和感を感じました……………

 

バンクシーさんの“反骨精神溢れる芸術作品”が、“ああいう方々”に高額購入されない事を願う変態オッサンで御座いました!

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

ファッション業界と自動車業界の接近 ……

BMWさんが“豪華絢爛キャスト&スタッフ”を駆使して、“ハリウッド映画並みの制作費”を注ぎ込んだショート ムービー『 The Hire 』シリーズ ( 2001〜 ) は、自動車業界のみならず映画、ファッションetc.あらゆる分野に大きな影響を与えました。

当ブログでは先日、“ファッション フォトグラファーの巨匠”ニック ナイトさんが手掛けた「 Aston Martin DBS Superleggera 」プロモーション ビデオを紹介致しましたが、もし『 The Hire 』シリーズの成功がなければ、ニック ナイトさんによるAston Martinプロジェクトも、実現不可能だったかも知れません……………

 

ジェネレーション的にはニック ナイトさんよりも古く、更に“大御所ファッション フォトグラファー”のピーター リンドバーグさんが、「 PORSCHE TALENT PROJECT  ( ポルシェ タレント プロジェクト ) 」と名付けられた“ビジュアル プロダクション”に参加中であると、以前からネット上で話題になっておりました。

 

 

ピーター リンドバーグさん ( Peter Lindbergh : ドイツ , 1944〜 )

 

 

しかしながら、コノ「 PORSCHE TALENT PROJECT 」は、PORSCHEさん本国サイトに於いても、メイキング ビデオと最低限の情報しか公開されておりません(2018年8月現在)。よって、今暫くは“事態を注視する必要あり”なので御座いますが、実は中間報告を見ただけでも“かなりの傑作”であると推測されます……………

何故なら、例えファッション フォトグラフを見慣れた方々でさえ、こんな“美しくスタイリッシュなオフ ショット”は、過去に誰も見た事がないと思われるからであります。

 

 

 

 

私が考える“ピーター リンドバーグ フォト最大の特徴”は、何と言っても“フレーミングの構成力”……………

写真の中にストーリーが見事に完結されており、まるで1本の映画を1枚の写真に凝縮した存在感があります。特に“モノクローム作品”のオーラは絶大で、ソレがPORSCHEさん一連の“レトロ モダンなデザイン”と融合した結果、誠に壮大な“ピーター リンドバーグ流PORSCHE ワールド”の完成で御座います。

 

 

 

 

“極上映画の1シーン”を観ている様な上記作品群は、“オリジナル プリントを部屋に飾りたい”と思わせる芸術作品であり、近年の広告写真全体を見渡しても、滅多にお目にかかれない秀逸なアートワークだと断言出来ます!

 

ところで、“オーバー1億円”の限定生産車が、瞬く間に予約完売してしまう昨今。

昔の「 バブル景気 」とは明らかに異なる好景気が進行中でありますので、“有名アーティスト&高級自動車メーカー”のコラボレーションは、今後より一層ヒートアップするのでは?と予感させます……………

 

 

『 Peter Lindbergh captures tradition and innovation of PORSCHE ー Behind the scenes  2018 』

 

 

因みに私が、初めてピーター リンドバーグさんとお会いした際の“第一印象”は……………

ー “とにかくエネルギッシュでタフな巨人” ー

やはり“世界の頂点に立つクリエイター”に必要なのは、“超人的な人間力”だと実感した、若かりし頃の変態オッサンでありました。

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

 

 

今、覚えておくべき名前 ……

音楽プロデューサー、ミュージシャン、MC、服飾デザイナーetc.正に“スーパー マルチ アーティスト”であるカニエ ウェストさん ( 本名 Kanye Omari West : アメリカ , 1977〜 ) につきましては、今更説明の必要は無いかと思われますが、そんなカニエ ウエストさんの“イメージング ディレクター”的存在だった、ヴァージル アブローさんという人物を御存知でしょーか?……………

 

 

ヴァージル アブローさん ( Virgil Abloh : アメリカ , 1981〜 )

 

 

ヴァージル アブローさんを御存知ないお方の為に、極めて雑なオサライをさせて頂きますと……………

大学で建築を学んで「 博士号 」まで所得したヴァージル アブローさんは、卒業後カニエ ウエストさんと出会ってミュージック シーンに関わります。ソノ後、“お互いの共通趣味”であったファッション分野で切磋琢磨した結果、お二人共に“破格のマルチ アーティスト”として大成功を納めた訳で御座います。

特筆すべきは2009年、お二人揃ってイタリアの老舗ブランド「 Fendi 」に於いてインターンシップ(実務研修)を敢行した点であります。

既にセレブの仲間入りを果たしていた有名人が、本当に“週休500ドル”で他のインターン同様に働いていたのか?と懐疑的な声も多く聞かれましたが、当時の「 Fendi 」CEOマイケル バークさん ( 現「 Louis Vuitton 」CEO ) は「2人の真面目な働きぶりと、周辺に与えた好影響には感嘆した。」と語っており、ファッション業界では有名な“神話”となっております。

 

そんな“斬新かつ積極的体験”が功をなし、ヴァージル アブローさんは2014年に御自身の服飾ブランド「 OFF-WHITE 」を設立。そして2018年3月には“黒人初”の「 Louis Vuitton 」メンズ部門、アーティスティック ディレクターに御就任。

フランス、パリの王宮パレ ロワイヤルで6月21日に開催された『 Louis Vuitton ー Spring / Summer 2019 』で華々しくデビュー致しました。

 

 

『 Louis Vuitton ー Spring / Summer 2019 ー Paris Men’s Collection 』

 

 

どちらかと云えば“型破りアウトロー タイプ”であるヴァージル アブローさんを、“コンサバ系の老舗”「 Louis Vuitton 」さんが指名したのには驚きましたが、“想像も絶するであろう重圧”を見事に跳ね返し、実に堂々としたコレクションを披露したヴァージル アブローさん……………

誠にアッパレで御座います。

 

 

『 Louis Vuitton ー Spring / Summer 2019 ー Paris Men’s Collection 』

 

 

因みに、こんな“新アーティスティック ディレクター記念商品”まで登場。

 

 

『 Air Jordan 1 ( Nike × Louis Vuitton )  2018 』

❇️ お値段、何と“約45万円”……………

 

 

ところで、ヴァージル アブローさんは“現役真っ只中のクリエイター”でありながら、世界的美術館での“回顧展”が2019年に予定されております(以下引用)。

 

 

【 ヴァージル・アブローの回顧展がシカゴで開催決定 ファッション、音楽、建築までキャリアを網羅 】( WWD JAPAN )

ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の回顧展「ヴァージル・アブロー:フィギュアズ オブ スピーチ(Virgil Abloh: Figures of Speech)」が、2019年6月8日から9月下旬まで米シカゴ現代美術館(The Museum of Contemporary Art)で開催される。

回顧展は、ヴァージルがカニエ・ウェスト(Kanye West)のクリエイティブ・エージェンシーのドンダ(DONDA)や、動画プロジェクトとしてスタートした「パイレックス ヴィジョン(PYREX VISION)」、ヘロン・プレストン(Heron Preston)らと立ち上げたアート集団ビーントリル(BEEN TRILL)などで働いていた時から現在までのキャリアを追う展開で構成される。そのうち、半分か4分の3はファッションについての展示になるという。( 2018年8月7日 )

 

 

おそらく“向こう10年間、最も注目すべきパワー セレブの1人”であると推測出来ます。

 

今の時代、クリエイターにとって最も重要なのは“如何に学んで、如何に表現するか”という謂わば「 セルフ プロデュース力 」だと、改めて実感した変態オッサンでありました!

 

 

『 Highlights from Louis Vuitton Men’s Spring ー Summer  2019 』

❇️ “実音(生演奏)バージョン”が若干長いので、“BGMアフレコ バージョン”で御了承下さい。

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

日本とJAPANの違い ……

変態オッサン、若かりし頃の体験談……………

外国(特にヨーロッパ)に住んだ経験をお持ちのお方なら、誰もが以下の様な“違和感”を感じた経験があるかと思われます。

 

❇️ 1 ) 自動車、オートバイ、家具、家電、腕時計etc.販売されている“日本製品”のデザインが、日本で販売されている製品よりも優れているのでは?と感じる。

❇️ 2 ) 映画、音楽etc.公開されている“日本芸術作品”の広告デザインが、日本版よりも優れているのでは?と感じる。

 

結論から云えば、上記は何も“正解”で御座います。

1 ) に関しては、かつて色々な企業の広報さんに尋ねたところ、「国や地域によって“求められる機能やデザイン”が異なります。確かに“欧米輸出用デザインの方が良い”と仰るお客様もいらっしゃいますが、欧米仕様をそのまま国内で発売致しますと、実は意外と評判が悪い場合も多くて、“全世界統一デザインは難しい”というのが率直な感想です。」

2 ) に関しては、映画業界の方曰く「地域性を尊重するという観点から、公開地域の制作会社に“プロモーションを一任する”のが一般的なヤリ方です。」との御言葉。

 

ビジネスを展開する“国や地域の需要”に合わせて、商品機能や仕様を細かく変更するのは重要な戦略でありますし、“ジャパンらしいホスピタリティー(おもてなし)”であるとも言えますが、しかしながらコレによって、同じ“MADE IN JAPAN”なのに複数のバージョンが存在してしまう、謂わば“ねじれ現象”が生じてしまいます。

つまり、我々が国内で見ている“日本”と外国の方々が見ている“JAPAN”の間には、常に“若干の相違点”がある事を知っておく必要があります……………

 

そんな“若干の相違点”を理解するのに最適なエキシビジョンが、4月から“ロングラン開催中”でありまして、訪れた友人から「貴重な資料がお手軽料金で見られるのでオススメ。」との報告あり。

よって、本日はココに紹介させて頂きます(以下引用)。

 

 

【 黒澤明監督の世界30か国の映画ポスター84点が国立映画アーカイブに集結、『七人の侍』『羅生門』など 】( FASHION PRESS )

展覧会「国立映画アーカイブ開館記念 没後20年 旅する黒澤明 槙田寿文ポスター・コレクションより」が、旧・東京国立近代美術館フィルムセンターの国立映画アーカイブにて、2018年4月17日(火)から9月23日(日)まで開催される。

「旅する黒澤明」展では、世界的な映画史上の巨匠・黒澤明監督作品のポスターを、黒澤明研究家である槙田寿文の所蔵品より84点紹介。西欧諸国やアメリカをはじめ、東欧、アジア、ラテンアメリカ、中近東など世界30か国のポスターを一度に見られる貴重な展示となる。また、黒澤明監督と海外との関わりを示す資料など61点も展示し、その卓越した国際性にフォーカスを当てる。展覧会最大の目玉は、日本初展示となる、1962年の作品『七人の侍』の8枚組ポスター。西ドイツの名デザイナー、ハンス・ヒルマンによる、238×332cmにも及ぶ大作だ。( 2018年4月3日 )

 

 

『 蜘蛛巣城 ( イタリア版 )  1959 』

 

『 羅生門 ( 西ドイツ版 )  1959 』

 

『 酔いどれ天使 ( ポーランド版 )  1960 』

 

『 赤ひげ ( キューバ版 )  1966 』

 

『 生きる ( アルゼンチン版 )  1950年代 』

 

 

正に“我が国が世界に誇る”黒澤 明さん作品の「 外国版ポスター展 」。

“黒澤 明”さんと“AKIRA KUROSAWA”さんの違いが分かる、実に興味深い作品展でありますし、例え“日本版オリジナル”を知らなくとも、充分に見応えのある“歴史的 アート ポスター ラインナップ”……………

 

是非とも、コノ機会に御覧頂きたいと思います。

 

 

【 開催概要 】

会期:2018年4月17日(火)~9月23日(日)
❇️ 休室日:月曜日、8月7日(火)~12日(日)、9月4日(火)~7日(金)
開室時間:11:00~18:30(入室は18:00まで)
会場:国立映画アーカイブ ※旧・東京国立近代美術館フィルムセンター 展示室(7階)

住所:東京都中央区京橋3-7-6
料金:一般 250円(200円)/大学生 130円(60円)/シニア・高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、MOMAT パスポート所持者、東京国立近代美術館及び国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料 ※( )内は20名以上の団体料金。

❇️ TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)

 

 

ところで1985年、パリ サンジェルマンでのお話。

偶然入ったBARのトイレで『 戦場のメリークリスマス / 監督 : 大島 渚  1983 』のポスターを発見。

余りにもカッコ良く、何ともディープ インパクトだったのを今でもハッキリと覚えております。

 

 

『 戦場のメリークリスマス ( FURYO : フランス版 )  1983 』

 

 

因みに、東京から来ていた当時の彼女が「戦争映画なのに、何でタイトルが“不良”なのか理解不能。」と言っておりましたが……………

“不良”ではなく“俘虜 ( フリョ : 捕虜と同意語 )”でありますので、今にして思えば“彼女こそ理解不能”で御座いました!

 

 

❇️ 本日のオマケ。

 

 

『 戦場のメリークリスマス ( MERRY CHRISTMAS MR. LAWRENCE : イギリス版 )  1983 』

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

摩天楼の聖夜 ……

例えファッションに興味のないお方であっても、「 メットガラ ( MET GALA ) 」という言葉は御存知かと思われます。

ニューヨーク メトロポリタン美術館に於いて、毎年5月の第1月曜日に開催されている“地球上で最もファッショナブルなパーティー”でありますが、ソノ注目度と影響力は凄まじく、「 メットガラ 」に招待される事が“世界一流セレブの証”となっております。そんな大注目ファッション イベントに成長したのは、映画『 プラダを着た悪魔 ( The Devil Wears Prada ) / 監督 : デヴィッド フランケル  2006 』のモデルとなった“VOGUE USA編集長”アナ ウインターさん ( Anna Wintour : イギリス , 1949〜 )が、1995年に「 メットガラ 」の主催者に就任したのがキッカケであります。

因みに、アナ ウインターさんは“大英帝国勲章”を授与されておりますので、“Dame Anna Wintour DBE”とお呼びするのが正解で御座います。

( 余談ですが変態オッサンは、ヘアメイク時代の1996年にニューヨークでエージェンシー廻りをした際、アナ ウインターさんに「ブック(作品ポートフォリオ)を見て頂けませんか?」とお電話したら、数分間待たされた挙句「3〜4ヶ月後に又電話してちょーだい。」と極めてアッサリ断られた経験があります。)

 

先日「 メットガラ 2018 」が開催されましたが、今回のテーマは何と“キリスト教がファッションに与えた影響”……………

 

 

ケイティ ペリーさん ( ドレス : VERSACE )

❇ “大きな羽”のお陰でリムジンに乗れず、御自分でオープンカーを運転して会場入り。

リアーナさん ( ドレス : MAISON MARGIELA )

❇ 帽子は“ティモシー ドーラン枢機卿からお借りしたホンモノ”。

スカーレット ヨハンソンさん ( ドレス : MARCHESA )

❇  MARCHESAデザイナーのジョージナ チャップマンさんは、セクハラ事件で有名になった“ハーヴェイ ワインスタインさんの奥様(離婚調停中)”。

ゼンデイヤさん ( ドレス : VERSACE )

ブレイク ライブリーさん ( ドレス : VERSACE )

❇  “裾の長さ”故に大型バスで会場入り。

 

 

私は、1996年に一度だけニューヨーク メトロポリタン美術館を訪れましたが、ヨーロッパの美術館を見慣れていた私は、チョットした違和感を覚えました。

失礼を承知で言わせて頂ければ、メトロポリタン美術館の第一印象は“巨大なアンティーク ショップ”でありました。つまり、金にモノを言わせて“世界中から買い漁った臭”が余りにもキョーレツで、ヨーロッパの美術館に蔓延する“歴史的重厚臭”を全く感じなかったからであります。加えて、素晴らしい文化財が多過ぎる事が災いして、結局のところ“美術館なのか博物館なのかよー分からん”という消化不良感。

ところが、巨大な館内を一通り見終わって外に出た瞬間、不思議と印象が好転しているのに気付きました。何故なら、昔のアメリカ人(ニューヨーカー)が、如何に本気で“ルーブル美術館(パリ)を追い越せ”と奮闘したのかが伝わって来て、ヨーロッパの美術館とは違う魅力を感じたからであります。

もしかしたらメトロポリタン美術館は、何事も“世界一を目指し続けたアメリカ人”にとって、誇らしい“記念碑”なのかも知れません。

 

“アメリカン スピリット溢れるメトロポリタン美術館”で開催される、豪華絢爛な「 メットガラ 」……………

 

 

リリー コリンズさん ( ドレス : GIVENCHY )

❇ “御大ロック ミュージシャン”フィル コリンズさん(ジェネシス)のお嬢様。

アン ハサウェイさん ( ドレス : VALENTINO )

 

 

モード、ファッションに関しまして、パリが“本家”である点は永久に不変であります。

しかしながら、ニューヨークにメトロポリタン美術館がある限り、メトロポリタン美術館で「 メットガラ 」が開催される限り、モード、ファッションの“本場”は今後もニューヨークであり続けると思います!

 

 

『 The Metropolitan Museum of Art : 1000 5th Ave , New York , NY 10028 , USA 』

 

 

ところで、私の大好きなスティーブン ソダーバーグさん監督で大ヒットした『 オーシャンズ 』シリーズ最新作、『 オーシャンズ 8 ( Ocean‘s Eight ) 』が我が国でも8月10日に公開されますが、誠に残念ながら監督はスティーブン ソダーバーグさんではなく、ゲイリー ロスさん ( Gary Ross : アメリカ , 1956〜 )で御座います。

 

但し、今回の舞台は「 メットガラ 」でありますので(上記登場のリアーナさん&アン ハサウェイさんも出演)、「 メットガラ 」の入門教材としては最適かと……………

 

 

『 OCEAN‘S 8 / 監督 : Gary Ross  2018 』

2018年8月10日(金曜日) 全国一斉ロードショー。

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論なき論争 ……

過去に訪れた都市の中で、ニューヨークは特に好きな街でありましたが、あの“ヘンテコな髪型のオッサン”がアメリカ大統領になってからは、チョットだけ嫌いな街になってしまいました。

過去に訪れた美術館の中で、「 メトロポリタン美術館 ( ニューヨーク ) 」は特に好きな美術館でありましたが、コノ度チョットだけ嫌いになる事件が発生致しました(以下引用)。

 

【 少女を描いた絵画が「性的」? フランス人画家の作品撤去を求める署名、1万人が賛同 】( Buzz Feed NEWS )
メトロポリタン美術館にあるバルテュスの「夢見るテレーズ」をめぐって。

少女を描いた絵画作品が、子どもを性的対象することを美化しているーー。そうした理由から、作品を撤去するよう美術館に求めるネット署名が、アメリカで1万人の賛同を得ている。撤去が求められているのは、ニューヨークのメトロポリタン美術館に展示されている、フランスの画家・バルテュス(1908〜2001年)の作品「夢見るテレーズ」(1938年)だ。

バルテュスは、少女をモチーフにした作品を多く残していることで知られている。ここで描かれているのも、やはり少女だ。椅子に座った彼女はリラックスした表情で机の上に片足をあげており、スカートがめくれて下着が見えている。その横では、猫がミルクをなめている様子も。( 2017年12月9日 )

 

 

主に絵画や写真に関して、“猥褻(エロ)か芸術か?”の論争は昔から現代に至るまで世界中で交わされております。多くの場合はソノ作家さんキャリア全体を通して、過去に“反社会的”とみなされる表現活動があった場合は“猥褻(エロ)”と判断し、違う場合は“芸術”と判断する事で決着している様に感じます。

そもそも明らかに低俗な猥褻作品は、世論によって淘汰されて“アートシーン”に存在している可能性も少なく、所謂“芸術作品”と称される創造物に対して“猥褻(エロ)か芸術か?”の判断はヒジョーに難しい上に、ソノ論争自体に重要な意味があるとは思えません。ましてや「 メトロポリタン美術館 」の様な“超一流美術館”展示作品に対して、そんな論争が勃発して“1万人”もの署名が集まるとは、誠に信じ難い事件で御座います。

例えば1960年代〜80年代、“ヘアヌード”は我が国だけではなく多くの国々で公開が認められておりませんでしたが、今現在は芸術表現の一つとして立派に市民権を得ております。何もかもOKにしてしまうのが良いとは決して思いませんが、芸術やファッション分野に於ける表現方法は、時代と共に“進歩&オープン化”するべきであり、よって今回の事件が、“時代錯誤甚だしい愚行”に思えるのは私だけでしょーか?……………

 

『 ダンス / アンリ マティス  1910 』

『 ヌード、観葉植物と胸像 / パブロ ピカソ  1932 』

『 アビニヨンの娘たち / パブロ ピカソ  1907 』

 

古今東西、歴史に名を残す画家さんや写真家さんにとって“ヌード”は極めて重要なモチーフでありました。

ソレは文字通り“裸”という人間のミニマム状態が、五感に訴えるインパクト大だからで御座います……………

 

『 撮影 : ハーブ リッツ ( Herb Ritts )  1989 』

『 撮影 : ヘルムート ニュートン ( Helmut Newton )  1992 』

『 撮影 : ジャンルー シーフ ( Jeanloup Sieff )  1982 』

 

上記、バルテュスさんの古典絵画からジャンルー シーフさんの現代写真に共通しておりますのは、“溜息が出るほどの美しさと存在感”であります。

“何を感じるか?”は、人間が100人集まれば“100通りの解釈”があって然るべきで、ソレこそが芸術の魅力(多様性)で御座います。もしも、「 メトロポリタン美術館 」に展示されているバルテュスさんの絵画『 夢見るテレーズ 』が嫌いならば、2度と「 メトロポリタン美術館 」に行かなければ良いだけの話であり、“性的”だとか“卑猥”だとか仰って署名運動を行うのは、“先進資本主義国”として如何なものかと……………

 

『 撮影 : ニコ ( Nico )  2012 』

 

✳️ 「芸術に求められるのは“潤いとエロス”である。」by 変態オッサン!

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)