一流を育てる環境 ……

私がフランスに住んでおりました1980年代のお話。

当時フランスで“大統領よりも偉い”と言われていた職業が、“F1レーサー&サッカー選手”でありました。ソノ2職種に限っては、我が国で云う“確定申告”に関しても、何と“提出書類無し(口頭申告)でOK”とモッパラの噂で御座いました……………

結局のところ、ヨーロッパ人にとって“F1レーサー&サッカー選手”は“神に選ばれし特別な存在”であり、故に人々から特に尊敬されて羨望の的だった訳で御座います。ソノ“神に選ばれし特別な存在”になるのには、「 国際 スーパーA級ライセンス 」という運転免許証が必要であります。

 

因みに、1980年代の「 国際 スーパーA級ライセンス 」発給条件は確か……………

✳️ 1 ) 1ランク下カテゴリーで“前シーズン3分の2以上の完走率”がある場合。

✳️ 2 ) 2ランク下カテゴリーの“前シーズン国別チャンピオン”である場合。

✳️ 3 ) “メインスポンサー持ち込み”を条件として、特別にチーム代表者が申請した場合。

 

ヨーロッパの方々にとって3は、“地位をお金で買った”と揶揄されて評判が悪く、所謂“ペイドライバーさん”の人気度はイマイチで御座いましたが、時代が変わって状況も随分と変化致しました(以下引用)。

 

 

【 マッサ「来季ウイリアムズが新たに起用するのは”ペイドライバー”」】( motorsport.com )

今シーズン末でF1を引退したフェリペ・マッサは、ウイリアムズは”金銭面”を見て2018年のドライバーを選出していると語った。

ウイリアムズはランス・ストロールの同僚となる来季のドライバーの選定を行なっており、その候補者としてロバート・クビサやセルゲイ・シロトキンらの名が上がっていた。アブダビで開催されたピレリテストの結果、ウイリアムズの中ではクビサよりもルノーのリザーブドライバーであるシロトキンが最有力候補者となっているようだ。マッサはクビサが最有力候補から外れたことに対し次のように語った。「クビサも含め、チームが見ているのはドライバーが持つ資金力なのだから、僕は(クビサが候補から外れたことに対し)驚かないよ」( 2017年12月16日 )

 

 

F1ビジネスは、謂わば純粋スポーツとエンターテインメントを掛け合わせた“プロフェッショナル スポーツ”であり、チームの運営には年間“数百億円もの資金”が必要とも言われております。よってチーム オーナーさんにとって、“メインスポンサーを持ち込めるドライバーさん”は極めて魅力的でしょーし、例えば“大富豪の御子息ドライバーさん”や“ビッグ スポンサーを持つドライバーさん”を、そんな理由で過小評価するのもフェアじゃないと思います。

ソレよりも、現在ジャパンに於いて危惧するべきなのは、むしろモータースポーツを取り巻く“若手レーサー育成環境”かと……………

 

 

ジャパン独自のカテゴリーであるスーパー フォーミュラ( Super Formula : 2013〜 )は、コーナリングスピードがF1よりも速く、おそらくF1以下カテゴリーの中では“世界最高レベル”かと思われます。

ところが“国際ポイントが低い”為に、せっかく年間チャンピオンになったとしても「 国際 スーパーA級ライセンス 」が所得出来ません。つまり“世界最高レベルのステージ”が、決して“F1を目指す若手ドライバーさん登竜門”ではなく、失礼を承知で申し上げるならば、“F1から降格したドライバーさんの受け皿”となっている感が御座います……………

 

では、“国際ポイント”をアップする方法は?

年間スケジュールに、“外国開催レース”を数試合加えれば良いのであります。

 

但し、スーパー フォーミュラ主催者さんにしてみれば、外国開催はリスクと共に出費が大きく伴うので、ビジネスとして“ウマ味が少ない”のが現実かも知れません。ところが隣国の韓国並びに中国は、立派な国際サーキットを所有しながら国際レース開催には恵まれておらず、ヒジョーに困っているのが現状で御座います。ですから韓国と中国にとっても、スーパー フォーミュラの開催はきっとオイシイ話に違いありません。

 

 

ところでイギリスの工業大学では、学校側がF1チーム エンジニアのアルバイトを斡旋してくれて、授業単位としてもカウントしてくれるシステムがあり、“世界最高レベルのステージ”で働きながら学べる制度が、ポピュラーになりつつあると聞いた事が御座います!

 

昨今は卓球、バドミントンetc.若手ジャパニーズ アスリートが世界の頂点に立つ機会が増えて、同じジャパニーズとして誠に嬉しい限りで御座いますが、背景には選手層底辺である“ジュニア アスリート育成方法の充実”があるのでは?……………

対して“ジャパニーズ モータースポーツ”は、1980年代に比べて先細りする一方に感じて、明るい未来が見出せない変態オッサンでありました。

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)