元々はイタリアの老舗バッグ ブランド(但しオバサン御用達)を、1994年にクリエイティブ ディレクターに就任した“アメリカ人”トム フォードさんが、世界の超一流トップモードに昇華させたGUCCIというブランド。
ソノ後はクリエイティブ ディレクター(総監督)が、アレッサンドラ ファキネッティさん(トム フォードさん後任の重圧から1年で辞任)〜フリーダ ジャンニーニさん〜そして現在のアレッサンドロ ミケーレさんと交代しながら、ソレに伴ってブランド イメージも若干変化致しました。例えるならば、ギタリスト(又はヴォーカリスト)が代わる度に、音楽性がマイナー チェンジし続けたロック バンドと同様かと思われます……………
本日は先ず、有名ファッション フォトグラファーであるグレン ルックフォードさん( Glen Luchford : イギリス , 1968〜 )が監督された、『 GUCCI Fall & Winter Campaign / Glen Luchford 2017 』を御覧下さい。
今回のモチーフとなりましたのは、1966年にアメリカでTVシリーズとしてスタートした『 STAR TREK ( スター トレック ) 』で御座います。我が国では『 宇宙大作戦 』として放送され、実は私もケッコー夢中になったのを覚えております。当時の私(小学校低学年)にとっては、何はともあれ“SFと云えば即ち『 宇宙大作戦 』”でありました。
そんな上記プロモーション ムービーは、確かに“広告として斬新かつインパクト大”なのは間違いなく、ソノ点だけを考えても秀逸なキャンペーン ビジュアルで御座いますが、私が気になるのは“GUCCIさんの様な高級トップモード ブランド”が、こんなポップでキッチュなキャンペーンを展開する事に対する、言ってみれば“イメージング対価”なので御座います……………
極めて簡単に言うならば、もしFerrariさんやRolls-Royceさんが、“アメリカン コミック”や“ジャパニーズ アニメ”をモチーフにしたワールド キャンペーンを展開した場合、“世界中のユーザーさん並びに熱狂的な支持者さん”が、はたして好意的な捉え方が出来るか否か?的な問題であります。
しかも、現クリエイティブ ディレクターであるアレッサンドロ ミケーレさんは、過去にも“パチンコ屋さん”や“デコレーション トラック”をフィーチャーし東京で撮影された、何ともエキゾチックなプロモーション ムービーを発表して、モード界のみならず多方面で話題になったお方で御座います。
つまりGUCCIさんには、今後“キワモノ路線”が定着してしまう可能性が……………
1986年3月、パリの経験談で御座います。
私は山本耀司さん( Yohji Yamamoto , 1943〜 )のコレクションを拝観しておりました。ステージ前半で唐突に音楽がストップしてしまい、以降は全く無音の“異次元空間”を、男女のモデルさんがランウェイを“出て来ては帰る”を繰り返す一種異様なトランス状態に。
ステージ終了後にお聞きした話によれば、サウンド システムが故障して音楽再生が不可能になってしまい、とっさの判断でステージの続行を決断したとの事でありました(本当のアクシデント)。
私はてっきり、山本耀司さんが綿密に計算した“無音パフォーマンス”だと思っておりました。何故ならば無音状態によって、観客の五感はコスチュームのシルエットや質感により集中出来て、通常のコレクション形式よりも、コスチュームの美しさ&プロポーションが一層際立った結果に……………
結局のところ、コスチューム自体に“キョーレツな力強さ”が存在するならば、余計なファクターは一切必要ないので御座います!
そこでGUCCIさんに於れましては、“キワモノ路線”から“王道路線”への軌道修正を、是非とも御検討頂きたく願う変態オッサンでありました。
( 画像は全てネットから拝借。)