若い頃に17年間“ヘアメイク”という仕事をさせて頂きましたが、キャリアの後半はCM(広告)が多かったので、必然的にCM監督さんやCMプロデューサーさんとお酒を御一緒する機会が多く、楽しく勉強させて頂いたのは誠に有り難い経験だと感じております。色々なお方から教えて頂いた結果、自分なりに考える“理想的なCM(広告)”は、説明的な演出やナレーションに頼る事なく、自然な演出とストーリー テリングによって、何となく“良い商品なんだろーなぁ”と感じさせる作品で御座います。
例えるならば、50代以上のお方にしか御理解頂けなくて恐縮でありますが、80〜90年代のMarlboro( マールボロ )さんのCMであります。「 Marlboro Country 」とネーミングされた一連のシリーズは、巧みな演出と美しい映像及び音楽から「 タバコって美味いねぇ。」と心底思わせてくれたモノであり、当時は喫煙者だった私も、Marlboroさん製品を購入しまくった経験が御座います。但し、残念ながら近年の禁煙ブームによって、タバコ メーカーさんCM(広告)を拝見する機会は、今後も増える事は無いかと思われます……………
撮影業界を辞めて18年も経過致しましたが、未だにCM(広告)が気になってしまう変態オッサンが、テーマ性と写真のインパクトから“サスガ”と唸ってしまったのがLouis Vuittonさんの広告であります。
上から「 キース リチャーズ編 」「 カトリーヌ ドヌーブ編 」「 ゴルバチョフ 元ソ連大統領編 」( 全て2007年作品より )
上記は、有名写真家アニー リーボビッツさん( Annie Leibovitz : アメリカ , 1949〜 )による“旅”をテーマにしたシリーズ。アニー リーボビッツさんはドキュメント フォトグラフ出身でありまして、後にファッション フォトグラファーとして“天下のVOGUE誌”専属となったお方であります。よってソノ芸風は、ドキュメンタリー タッチで存在感大のポートレイトを得意としており、このキャンペーンは正に“ハマり役”なので御座いました。
因みに、キース リチャーズさんは「ルイ ヴィトンのギター ケースを作ってくれるんなら、ギャラなんかいらねぇよ。」と、言ったとか言わなかったとかの逸話が残っております。
そんなLouis Vuittonさんの最新広告「 SERIES 7 」は(以下引用)……………
【 ルイ ・ヴィトンの新広告キャペーンにソフィー・ターナーが登場! 】( Harper’s BAZAAR )
ルイ・ヴィトンの2017-18秋冬広告キャンペーン「Series 7」が公開された。
今回は、粗野なエレメントとはっきりとしたラインが特徴のインダストリアルな世界がテーマ。ブルース・ウェーバーが映画のような理想の舞台を背景に誰も見たことのないキャラクターやパワフルなヒロインを捉え、ロマンチックなバレエ仕立てのストーリーを展開。そのストーリーにおいて予期せぬ侵入者を演じ、ニコラ・ジェスキエールのイマジネーションをモデルとして体現したのが、そうそうたる著名人たち。(2017年7月9日)
何と“あの”ブルース ウェーバーさん( Bruce Weber : アメリカ , 1946〜 )入魂ヴィジュアルで御座います!
Louis Vuittonさんという“名門ハイ ブランド”の重厚さを残しながらも、カジュアルで若々しく落とし込んだ世界観の妙技。ハイ ブランドの共通した課題である“ブランドのリフレッシュ(若返り)”が重要な問題である点を考慮し、セレブ モデルの魅力を充分に昇華させた、極めて見事な“戦略的広告”だと感心致します。
しかしながらブルース ウェーバーさんと云えば、モノクロ作品が余りにも秀逸でありますので、今回のキャンペーン フォトに対しては、“カタログ撮影定番のグレー バックで新鮮味に欠ける”との御意見多数でありますが、ライティングと構図の巧みさは如何にも“ブルース ウェーバー節”でありまして、広告写真王道の安心感と説得力に関しては、ブルース ウェーバーさん監督の以下ショート ムービーを御覧になれば、誰もが納得して頂けるかと思います……………
https://youtu.be/rwyDnoge7as
『 Louis Vuitton Series7 / Bruce Weber ( 2017 ) 』
( 画像は全てネットから拝借。)
なかなか勉強になります…
私もナレーションやセリフに頼らないサイレントCM(?)が好きです。リンクにあります Louis Vuitton Series7 でも用いられている様ですが、最近は、Smooth Slow Motion Effectによって極めてクオリティの高い映像が創作可能となりましたなあ。
サスガにプロフェッショナルな御意見ですねぇ!
CMや映画等のムービー映像に関しては、技術革新が映像革新に繋がる点が特徴かと思います!!
ひと昔前に、油圧制御式の“ステディカム”が登場して、手持ちカメラでも安定した映像が撮影可能になり、CMや映画に与えた影響は強大でありました。
今現在では、所謂“レンズのボケ味”etc.によってフィルム映像が優位であり、ビデオ映像は未だに“生っぽい画像特性”によって、敬遠されがちなのが現実で御座いますが、ビデオ世代の若者にとってはフィルム映像は“暗くてダサい”との御意見もあり、近い将来は映画も全てビデオ撮影になってしまうんでしょーなぁ……………