限界が見えた“Apple型モデルケース” ……

❇️ その1 「 デザイン 」

今春、“Apple チーフ デザイン オフィサー”であるジョナサン アイブさん( Jonathan Paul Ive : イギリス , 1967〜 )と、“影のチーフ デザイナー(?)”マーク ニューソンさん( Marc Andrew Newson : オーストラリア , 1963〜 )が「共に2019年限りでAppleを退社する。」と正式発表されました。

御二人は正に“現代を代表する工業デザイナー”であり、しかも「 大英勲章 」まで授与されている文化人。そんなビッグネームが“時価総額世界一の企業”を揃って辞めるにも拘らず、後任人事その他が全く話題にならないのは誠に予想外であります……………

“全面タッチ スクリーン”が主流になった現在のスマートフォン。正直なところ“誰がデザインしても同じでは?”という本音が、Apple社内にあるのかも知れません。

( 因みにジョナサン アイブさんとマーク ニューソンさんは、デザイン会社「 LoveFrom 」を設立する事が既に発表されております。おそらく今後は“スマートフォンやタブレット以外の工業デザイン”で、斬新な作品を発表してくれるでしょう。)

❇️ その2 「 機能 」

確かにAndroid OSを採用している他社製品に比べて、“自社製専用iOS”を搭載したiPhone並びにiPadは、依然としてセキュリティーと作動の両面で安定感があり、ソレがApple製品“最大の魅力”である点は今も変わりありません。しかしながら、相変わらずAndroid OSに比べてカスタマイズの自由度は低く、Appleさんが主張する“直感的な操作性”に於いても、Android勢に追従されつつある現実。

❇️ その3 「 Appleの未来 」

“最先端ガジェット開発及び販売会社”としてのAppleさん。

実際にはSAMSUNGさんetc.に部品の製造、アッセンブリーを丸投げしており、ソレによって様々なリスク軽減に成功致しましたが、昨今の国際事情を考えた場合、特に“アジア諸国の企業”に丸投げするのは、むしろリスクが拡大するのは承知の事実。よって今後のAppleさんは、所謂“ネットビジネス企業”にシフトチェンジするのが妥当と考えられます。

そんなAppleさん。

先日“恒例の新製品発表イベント”が開催され、「 iPhone 」「 iPad 」「Apple Watch 」の新型が発表されましたが……………

去る9月10日、「 スティーブ ジョブズ シアター 」でド派手に開催された発表イベント。

相変わらず大盛況で“Apple人気健在”を印象付けましたが、発表された新製品を改めて拝見すると、何ら“驚きや発見”が無い余りにも“無難な製品”で御座いました。

私は決して“熱心なApple信者”ではありませんが、iPhoneとiPadに関しては初代モデルから2年毎に買い換えて来ました。但し今回(今年)は買い替えを控え、来年以降に再検討する事と致しました。

何故なら現在のAppleさんは、昔の様に“所有欲を刺激する特別な製品”を生み出す企業ではなく、Apple製品も又“持つべき特別な製品”ではなくなってしまったからであります。

スマートフォン、タブレットがデザインと機能面で“倦怠期”に突入した今だからこそ、“野心的なスタートアップ企業”がクラウドファウンディングで資金を調達して、スマートフォン業界に新規参入してくれれば、業界が活性化されて俄然面白くなりますが、利益優先で“世間のニーズ”を気にし過ぎる最近のビジネス傾向では、“心に訴える面白いツール”は永遠に生まれないのでは?……………

❇️ ー “客が欲しい物ではなく自分が欲しい物を造る” ー

“かつてのSONYさんライクな企業”の出現を切に願う変態オッサンでありました!

『 Breaking Convention With The First WALKMAN / SONY 2019 』

( 画像1、6、7はネットから拝借。画像2〜5はAppleさんのウェブサイトから拝借。)

ティム クック船長の行く末 ……

Appleさんは10月30日、ニューヨーク、ブルックリンに於いてスペシャル イベントを開催致しました。

華々しく発表されたのはMacBook Air、Mac mini、iPad Proのニュー モデルでしたが、世界中の“Apple信者”からは相変わらず熱狂的に迎えられ、既に発売済み製品に関する評判は、我が国に於いても“おおむね良好”で御座います……………

 

 

新型 iPad Pro

 

新型 Mac mini

 

 

しかしながら、iPadのニュー モデル発表は“マスト ルーティーン”だとしても、サプライズ的な謂わば“隠し球”がMac Book Airのニュー モデルだった点には、正直なところ“期待外れ”だと感じたApple ユーザーも多かったのではないでしょーか?……………

 

 

新型 Mac Book Air ( ゴールド )

 

 

本来ならば“最廉価版”であるべきエントリー クラスのMac Bookですら、高価格帯(¥142,800〜税別)になってしまった今、真の“最廉価版”はMac Book Air(¥98,800〜税別)でありますので、より若いユーザーを取り込んだり、教育現場での普及を拡大したいAppleさんにとっては、確かにMac Book Airは極めて重要な商品には違いありません。

 

 

新型 Mac Book Air ( シルバー )

 

 

しかしながら、超一流プロデューサーであるティム クックさん ( CEO )や、天才デザイナーであるジョナサン アイブさん ( チーフ デザイン オフィサー ) を擁する“史上最強企業”が、大手PCメーカー ライクにマイナー チェンジを繰り返し、エントリー モデルを延命し続けるとは考え難い上に、世界中の“Apple信者”がソレを許すとは思えませんので、最近のAppleさんには“何かの暗示”すら感じます……………

 

 

因みに当ブログでは、旧ブログ時代も含めて過去に“以下の3点”を指摘させて頂きました。

❇️ 1 ) Appleさんが“倦怠期真っ只中”である事。

✳️ 2 ) スティーブ ジョブズさん時代のAppleは、あくまでも“株式会社スティーブ ジョブズ”であり、“株式会社ティム クック”への会社変更には“大きな軌道修正”が必要である事。

✳️ 3 ) 1970年代〜1990年代と違って、“イノヴェーティヴな企業”が生き残るのは困難な時代であり、“IKEAさん(低価格帯)路線”か“エルメスさん(高価格帯)路線”が企業安泰のセオリーである事。

 

 

Appleさん“最大のジレンマ”は、声高らかに「 PCが必要ない時代の到来 」を謳っておきながら、自らがPCをメイン アイテムの一つに据えている現実だと思われますが、ソノ構図はかつてSONYさんが“世界最大手のレコード会社”を抱えるが故に、著作権問題etc.で“デジタル ミュージック プレイヤー”ジャンルへの参入に躊躇して、AppleさんのiPodに大敗を喫してしまったのと似ている様な気が致します。

 

はたして、Appleさんの“選択肢”は如何に(以下引用)……………

 

 

【 アップルは「マス市場」を捨て、高級ブランドになろうとしている 】( WIRED )

天文学的な額の手元資金を保有し、高級ブランドとしての地位を固めようとするアップルは、テック界の風雲児というよりは小売業界の大物だ。両者の境界は曖昧かもしれないし、究極的にはどちらであってもたいした意味はないのだろう。

しかし、アップルの変化は、米国のテック産業の変遷を象徴している。テック業界はもはやイノヴェイターたちが集まるところではなく、限られた数の巨大企業が、自分たちだけに意味のあるお題目を唱えている場所になってしまった。世界はいまや、変えるためのものではなく、そこから利益を絞り取るためのものなのだ。( 2018年11月7日 )

 

イタリア、ミラノに出現した「 iPhone Xs 巨大広告 」

 

 

✳️ 変態オッサンの総括(妄想)。

Appleさんは、3年以内に“ゴールドやプラチナ ケース製”iPhone並びにApple Watchを専門に扱う「 Apple プレステージ ストア ( 仮称 ) 」を、世界主要都市に出店する。

つまり、“HERMESさん(高価格帯)路線”を突き進むので御座います!

 

最後に、そんなAppleさんの“高級フェロモン大放出CM”をどーぞ御覧下さい……………

 

『 iPhone Xs / iPhone Xs Max CM  ( 2018 ) 』

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さな声が大きなアイディアに ……

【 現代を代表する2大プロダクト デザイナー 】

 

Appleという企業が大成功したのは、“カリスマ経営者”故スティーブ ジョブズさん ( 本名 Steven Paul Jobs : アメリカ , 1955〜2011 ) の力による部分が余りにも大きく、よってスティーブ ジョブズさん亡き後は、次第に“形態を変えながら収縮して行く”のだと思っておりました。

ところが実際には着実に“増収増益”を続け、未だ圧倒的な利益率を誇って“株式時価総額 世界一”に君臨中……………

ソノ原動力になっているのが、Apple“デザイン担当 上級副社長”であるジョナサン アイブさんで御座います。

 

 

ジョナサン アイブさん ( 本名 Jonathan Paul Ive : イギリス , 1967〜 )

❇ 2006年に「 大英帝国勲章 」を授与されておりますので、正確には“Sir Jonathan Paul Ive , KBE”とお呼びするべき。

 

 

1992年、Appleに入社したジョナサン アイブさんは「 iMac 」で頭角を現し、以降「 iPod 」〜「 iPhone 」〜「 iPad 」と大ヒットを連続して、機能性に秀でた“Appleデザイン”を確立致しました。

 

 

『 iMac ( 1998 ) / Designed by Jonathan Ive 』

『 iPod ( 第5世代 , 2005 ) / Designed by Jonathan Ive 』

 

 

「 Appleデザイン by ジョナサン アイブ 」の特筆すべき点は、直感操作可能な“機能的カリフォルニア デザイン”に加えて、アルミ無垢加工による“ユニボディー技法”を用いた質感の素晴らしさ。“求める質感”実現の為に某高級時計メーカーに通い続けて、自ら技術を習得したのは有名なお話で、正にデザイン並びに質感に関する“徹底したプロフェッショナル”であります。

かつてApple Watchに関するインタビューで「何故Apple Watchはスクエア フェイスなのか?」と聞かれた際に、「リストウォッチをラウンド フェイスにする必要性が無いから。」と答えたジョナサン アイブさん。

“己のデザイン哲学”を明確に表現した言葉だと思います……………

 

 

『 Apple Watch ( 第3世代 , 2017 ) / Designed by Jonathan Ive 』

 

 

因みに今現在、ジョナサン アイブさんに匹敵するプロダクト デザイナーと云えば、あらゆる意味でマーク ニューソンさんしか居ないかと……………

 

 

マーク ニューソンさん ( 本名 Marc Andrew Newson : オーストラリア , 1963〜 )

❇ 2012年に「 大英帝国勲章 」を授与されておりますので、正確には“Marc Andrew Newson , CBE”とお呼びするべき。

 

 

マーク ニューソンさんは、1991年に御自身のデザイン スタジオをパリに設立。主に家具のデザインで大ブレイク致しましたが、ソレ以前の4年間は東京在住の“知日家”でもあります。

故に“ジャパン プロダクト”とは縁のあるお方で御座います。

 

 

『 au Talby ( 2004 ) / Designed by Marc Newson 』

『 味の素®️ ( 2009 ) / Designed by Marc Newson 』

 

 

「 マーク ニューソン デザイン 」は、豊かな色彩表現に注目が集まりがちでありますが、何と言っても“曲線の美しさ”が真骨頂。

 

 

『 Jaeger-LeCoulte Atmos561 ( 2008 ) / Designed by Marc Newson 』

『 Jaeger-LeCoulte Atmos568 ( 2017 ) / Designed by Marc Newson 』

❇ 「 アトモス シリーズ 」

高級腕時計メーカーJaeger-LeCoulteさん ( 我が国では「 ジャガー ルクルト 」と表記 ) が手掛ける置き時計シリーズ。“気圧差”を利用して半永久的に動き続ける“摩訶不思議な逸品”。

 

 

そんな“ジョナサン アイブさん&マーク ニューソンさん”のお二人。

実は公私に渡って仲が良い友人でありまして、過去にはこんな“コラボレーション プロダクト”を発表(チャリティー オークション用、ワンオフ製品)。

 

 

『 Leica M ( 2013 ) / Designed by Jonathan Ive & Marc Newsom 』

 

 

ただでさえ“究極のミニマル デザイン”LEICAさんカメラ。

“誰がデザインしても同じやろ?”と思いきや……………

なるほど、LEICAさん通常ラインとは“明らかに異なる香り”で御座います。

 

 

❇ 2014年、世界騒然のビッグニュース到来。

「“あのマーク ニューソン”が、デザイン担当 上級副社長としてAppleに入社。」と各メディアで大騒ぎになりましたが、結局のところAppleさんからの公式発表は一切無し。

( 2018年7月現在、公開されている「 Apple 役員リスト 」にマーク ニューソンさんのお名前は存在致しません。)

しかしながら、ココ数年のAppleさん製品を見る限り……………

 

確実に“マーク ニューソンさんの気配”を感じる変態オッサンでありました!

 

 

『 Apple ー Designed by Apple in California  2016 』

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)