俯瞰視点 ……

当ブログで以前も紹介致しました「 FIA フォーミュラE 選手権 ( FIA Formula E Championship ) 」は、謂わば“電気自動車版 F1”の世界選手権シリーズで御座います。

改めて若干復習させて頂きますが、フォーミュラEは現在のところ全チーム“同一シャーシ(ダラーラ製スパーク)”を使用しており、RENAULT、AUDI、CITROËN etc.製エンジン(モーター)を搭載したマシンに、ミシュラン製タイヤで争われます。F1に比べて“イコール コンディション”的要素が強い分、勝敗のカギは“ドライバーのテクニックとチーム戦略”に負う部分が多く、言い換えるならば、F1の様な“チーム政治力や大人の事情”が及ぼすファクターが少ないモーター スポーツであります。

但し、物理的なマシン スペックは“F2とF3の中間”に位置するものであり、故に“F1で通用しないドライバーの巣窟”と揶揄されたりもしますが、ル マンで華々しい経歴を持ち、現在フォーミュラEで奮闘中のアンドレ ロッテラーさん ( André Lotterer : ドイツ , 1981〜 ) 曰く「加速、ハンドリング、ブレーキング、あらゆる意味で“異次元”の新カテゴリー。」との事……………

加えて、環境問題を含めた“新時代モーター スポーツ”としての注目度も高く、今後一層の盛り上がりが期待されます。

 

そんなフォーミュラE、12月開幕「 シーズン5 ( 2018〜2019 ) 」に新規参戦するBMWさんのマシンが先日公開されました。

 

 

『 An amazing story in 2.8 seconds ー BMW i Motorsport  2018 』

 

 

因みに、上記マシンの紹介記事を初めて拝見した時は“ドイツ語記事”でありました。よって、ドイツ語が全く理解不能な私にとっての第一印象は「“ホワイト&ブルー”が、BMWさんのイメージ カラーであるのは知っているが、何故こんな“中途半端で統一性が無いカラーリング”なのだろーか?」と違和感満載で御座いました。

ドイツ車好きの知人も「“あのカラーリング”はイマイチだよなぁー。」で意気投合致しましたが、最近“日本語記事”を拝見して重大な事実が判明(以下引用)……………

 

 

【 BMWがフォーミュラEに参戦──BMW iで培ったノウハウをフル活用 】( GQ JAPAN )

BMW iFE.18のカラーリングはなかなか斬新だ。BMWモータースポーツの基本カラーである白とブルーを基調としながらも、それらがブロック状に切り分けられていて、一見したところ連続性があまりないようにも思える。

ところがこのデザインは、フォーミュラEのレースを研究し尽くした結果、生まれたものだとBMWモータースポーツでチーフデザイナーを務めるミハエル・スカリーは説明する。「フォーミュラEのレースは都市部の狭いサーキットで行なわれます。このため観客は、普通のレースよりもやや高めの近い位置からレースを望むことになります」 。そこでスカリーらは、一般的なレーシングカーではあまり重視されない上方から見下ろした際のデザインを中心に検討。各スポンサーのロゴは上から見てもしっかり認識できるように工夫したという。( 2018年9月30日 )

 

 

フォーミュラEは、排気ガスや騒音と無関係な事から“環境への優しさ”をパワー プッシュしており、景観名所での“市街地開催”がウリの一つであります。

つまり観衆は、アパートやビル等“高い場所”から観覧するのが一般的であり、ソノ点を踏まえて“俯瞰(上から見下ろす)目線”でデザインされたので御座います!

 

 

 

 

❇️ 1980年代、六本木。

某 アパレル企業社長さんとお酒を御一緒した際「最前線のクリエイターは“対面する世界”に集中しているので、我々経営陣は“俯瞰から客観的に捉える”のを徹底しなければ、芸術もビジネスも成り立たない。」と仰いました……………

 

改めて“俯瞰視点の重要性”に気付かされた変態オッサンであります。

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

 

 

ファッション業界と自動車業界の接近 ……

BMWさんが“豪華絢爛キャスト&スタッフ”を駆使して、“ハリウッド映画並みの制作費”を注ぎ込んだショート ムービー『 The Hire 』シリーズ ( 2001〜 ) は、自動車業界のみならず映画、ファッションetc.あらゆる分野に大きな影響を与えました。

当ブログでは先日、“ファッション フォトグラファーの巨匠”ニック ナイトさんが手掛けた「 Aston Martin DBS Superleggera 」プロモーション ビデオを紹介致しましたが、もし『 The Hire 』シリーズの成功がなければ、ニック ナイトさんによるAston Martinプロジェクトも、実現不可能だったかも知れません……………

 

ジェネレーション的にはニック ナイトさんよりも古く、更に“大御所ファッション フォトグラファー”のピーター リンドバーグさんが、「 PORSCHE TALENT PROJECT  ( ポルシェ タレント プロジェクト ) 」と名付けられた“ビジュアル プロダクション”に参加中であると、以前からネット上で話題になっておりました。

 

 

ピーター リンドバーグさん ( Peter Lindbergh : ドイツ , 1944〜 )

 

 

しかしながら、コノ「 PORSCHE TALENT PROJECT 」は、PORSCHEさん本国サイトに於いても、メイキング ビデオと最低限の情報しか公開されておりません(2018年8月現在)。よって、今暫くは“事態を注視する必要あり”なので御座いますが、実は中間報告を見ただけでも“かなりの傑作”であると推測されます……………

何故なら、例えファッション フォトグラフを見慣れた方々でさえ、こんな“美しくスタイリッシュなオフ ショット”は、過去に誰も見た事がないと思われるからであります。

 

 

 

 

私が考える“ピーター リンドバーグ フォト最大の特徴”は、何と言っても“フレーミングの構成力”……………

写真の中にストーリーが見事に完結されており、まるで1本の映画を1枚の写真に凝縮した存在感があります。特に“モノクローム作品”のオーラは絶大で、ソレがPORSCHEさん一連の“レトロ モダンなデザイン”と融合した結果、誠に壮大な“ピーター リンドバーグ流PORSCHE ワールド”の完成で御座います。

 

 

 

 

“極上映画の1シーン”を観ている様な上記作品群は、“オリジナル プリントを部屋に飾りたい”と思わせる芸術作品であり、近年の広告写真全体を見渡しても、滅多にお目にかかれない秀逸なアートワークだと断言出来ます!

 

ところで、“オーバー1億円”の限定生産車が、瞬く間に予約完売してしまう昨今。

昔の「 バブル景気 」とは明らかに異なる好景気が進行中でありますので、“有名アーティスト&高級自動車メーカー”のコラボレーションは、今後より一層ヒートアップするのでは?と予感させます……………

 

 

『 Peter Lindbergh captures tradition and innovation of PORSCHE ー Behind the scenes  2018 』

 

 

因みに私が、初めてピーター リンドバーグさんとお会いした際の“第一印象”は……………

ー “とにかくエネルギッシュでタフな巨人” ー

やはり“世界の頂点に立つクリエイター”に必要なのは、“超人的な人間力”だと実感した、若かりし頃の変態オッサンでありました。

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

 

 

 

 

 

狙われたら最期 ……

決してマスメディアのトップニュースにはなり得ませんが、TOYOTAさん、NISSANさん、HONDAさんetc.世界に誇る自動車メーカーが数多く存在する我が国では、自動車メーカーさんが“特別なパトカー”を都道府県の警察に寄贈する事があります。コレは謂わば“法執行機関による製品テスト”的側面を持ち合わせておりますが、自動車メーカーさんにとっては、重要なイメージング戦略の一つなので御座います。

記憶に新しいところでは、栃木県警察さんが先日「 NISSAN GT-R 」のパトカーを公開してカーマニアの間で話題となりました。しかも今回は“自動車メーカーさんからの寄贈”ではなく、“県民からの寄付”という点でも脚光を浴びました(以下引用)。

 

 

【 栃木県警察、R35型「GT-Rパトカー」を初公開 】( Car Watch )

栃木県警察は6月15日、日産自動車のスポーツモデル「GT-R」を警察車両として採用した「GT-Rパトカー」を初公開した。GT-Rパトカーは県民からの寄付により寄贈されたもので、同日、栃木県庁で福田富一栃木県知事が参加するセレモニーが行なわれた。栃木県警では、今回公開されたGT-Rパトカーは高速道路でのパトロールや交通安全イベントへの参加などに活用する考え。なお、6月16日の「県民の日記念イベント」で栃木県庁 昭和館前に展示される予定。( 2018年6月15日 )

 

 

御存知の様に、公道に於いてパトカーは“合法的最速車両”であります。詳細スペックは非公開ながら、市販車に比べてへヴィーなチューニングが施されているのは容易に想像出来ます。

加えて、一般人にとっては“乗車する機会が皆無の車両”でもあり、故にベールに包まれた“ミステリアスな雰囲気”が、王道と一線を画す“マニアックなクルマ好き”を刺激するのだと思います。

( お陰様で私は、過去に何度か“乗車させられた経験”があります。)

 

そこで本日は、“思わず乗りたくなる”魅力満載のパトカーを世界中から厳選して、極めて独断と偏見に基付いた「 ワールド ポリスカー ベスト10 」を御紹介致します。

例えば諸外国でレンタカーを運転中に、以下の車両がルームミラーに映った際には、素直に“投降”なさって弁護士さんを呼ぶのが宜しいかと……………

 

 

❇ 10位

『 PORSCHE 911カレラ S / ドイツ警察 』

やはり“ドイツ警察さん&PORSCHE ポリスカー”は、既に“ドイツ名物”として定着した感が御座います。

余りにも有名なアウトバーン ( Autobahn : ドイツ 〜 オーストリア 〜 スイスを結ぶ長距離高速道路 ) 用には、更に“超強力なPORSCHE ポリスカー”も御用意されております。

 

❇ 9位

『 BMW X5 / イギリス警察 』

以前からBMW ポリスカーでお馴染みの「 スコットランド ヤード ( ロンドン警視庁 ) 」さんで御座います。

現在は“多様なBMW ポリスカー ラインナップ”を誇りますが、昨今流行りの“SUV ポリスカー”が実にお洒落でポイントアップ。

 

❇ 8位

『 DODGE バイパー / アメリカ警察 』

アメリカン ポリスカーと云えば“大型セダン”のイメージが強力でありますが、こんな“超ファンキーなポリスカー”を採用している州も御座います……………さすがUSA。

 

❇ 7位

『 HONDA NSX / イギリス警察 』

“ジャパンが誇るスーパー スポーツカー”初代NSX(後期型)が、遠く離れたイギリスの地で“美し過ぎるポリスカー”に変身で御座います。

 

❇ 6位

『 FERRARI 348ts / コロンビア警察 』

失礼ながら“財政的 貧乏イメージ満載”のコロンビア警察さんが、FERRARI ポリスカー、しかも“オープンカー”とは誠に驚きで御座います……………

因みに、パトライトはタルガ バー部分に固定されておりますので、“頭に載せてゴムバンドで固定”する必要はありません。

 

❇ 5位

『 FERRARI 612スカリエッティ / イギリス警察 』

間違いなく“最も渋いFERRARI”で御座います……………

イギリス警察さんには「 高級スポーツカー 特殊選定部隊 」が稼働中であると確信した瞬間。

 

 

こーやって5位〜10位を振り返りますと、全くノーマークだったコロンビア警察さんの“意外性”と、イギリス警察さんの“強気”が印象的で御座いますが……………

 

 

❇ 4位

『 LAMBORGHINI ガヤルド / イタリア警察 』

イタリア在住知人によれば、LAMBORGHINI ポリスカーは当初“移植臓器運搬その他、特にスピードを要する任務用”に導入されたとか……………

何れにしても、担当ポリスマンさんは気分最高のクルージングで御座いまして、真面目に任務を遂行しているのか極めて疑問。

 

❇ 3位

『 McLaren MP-4-12Cスパイダー / イギリス警察 』

遂に“少量生産ハイパー スポーツカー”が登場。

McLarenさんではお買い得モデルに属する「 McLaren MP-4-12C 」とは云え、お値段は“約3000万円なり”で御座います。見たところルーフ上にパトライトが固定されており、電動ルーフがオープン可能なのか気になるところ……………主にハイウェイ パトロールで活躍中。

 

❇ 2位

『 BUGATTI ヴェイロン / ドバイ警察 』

御想像通りドバイ警察(金満)さんは、何と“オーバー2億円”のBUGATTI ヴェイロン他、アイキャッチ フォトに使用したLAMBORGHINI アヴァンタドールを含む“大量のハイパー ポリスカー”を所有。

しかもメーカーさんからの寄贈ではなく、殆どが“ドバイ警察 自腹購入”なので御座います……………“世界一太っ腹”なポリス カー事情。

 

しかしながら、世界には“コレよりも更に上”が……………

 

 

❇ 1位

『 CAPARO T1 / イギリス警察 』

上記車種に関しましては、殆どのお方が御存知ないかと思われますので、若干説明させて頂きます。

 

 

「 CAPARO ( キャパロ ) T1 」とは……………

イギリスの“独立系 ハンドメイド スポーツカー メーカー”CAPAROが生産するスーパー スポーツカー。

最高出力500馬力、最高速度322km/hは今更ぶったまげる程のスペックではありませんが、車体乾燥重量(ガソリン、オイル等の液体重量除く)は“驚異の470kg”により、0〜100km/h到達時間“僅か2.5秒”を実現。

 

 

つまり、ルックスもスペックも正に“まんまレーシング カー”なので御座います。

こんな“恐ろしい物体”をポリスカーに採用するなんて、イギリス警察さんの“度胸とセンス”には、ブラボー以外の言葉が見つかりませんが、“まんまレーシング カー”に乗って、一体何をどーやって取り締まるのでしょーか?……………

 

「 Brexit ( ブレグジット ) : イギリスのEU脱退 」に改めて納得した変態オッサンでありました!

 

 

「 CAPARO T1 ポリスカー 」

❇ ところで、北海道警察さんへ御提案させて頂きます。

“日本一長い直線道路”を有する北海道の特徴を考慮して、是非とも「 CAPARO T1 ポリスカー 」導入の御検討を御願い致します……………

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

風物詩的娯楽大作 ……

欧米の人気TVシリーズで映画化された作品は数多く存在致しますが、オリジナル テイストを残しつつも“新解釈による再構築”を施した秀作で、かつセールス的にも大成功した作品は極少数であります。

そんな作品の中でも、一貫した芸術性とエンターテイメント性に於いて“決して期待を裏切らない”のが、トム クルーズさん ( Tom Cruise : アメリカ , 1962〜 ) 主演並びに製作総指揮による『 ミッション : インポッシブル  』シリーズで御座います。

ソノ最新作『 ミッション : インポッシブル / フォールアウト 』が、いよいよ8月3日(金曜日)より我が国でも公開されます。

 

 

 

 

本作品の監督は『 ユージュアル サスペクツ  1995 』の脚本で一躍有名となったクリストファー マッカリーさん ( Christopher McQuarrie : アメリカ , 1968〜 ) であります。

大好きな“脚本家”であったクリストファー マッカリーさんが、2000年に『 誘拐犯 ( The Way of the Gun ) 』で監督デビューした際には、正直なところ“監督には不向きなのでは?”と余計な心配を致しました。しかしながら、典型的な“文学寄りクリエイター”かと思っておりましたら、意外と“ヴィジュアル寄りクリエイター”でもありまして、たちまち“一流監督”の仲間入りを果たしたクリストファー マッカリーさん。

前作『 ミッション : インポッシブル / ローグ・ネイション  2015 』に引き続き、目出度く2回目の“監督ミッション”となりました。

 

 

 

 

そもそもオリジナルの『 スパイ大作戦 ( Mission : Impossible )  1966〜1973 』は、本国で「 エミー賞 」「 ゴールデングローブ賞 」etc.を受賞した傑作TVドラマ シリーズで、ジャパンでも1967年からほぼ全編が放送されました。

ラロ シフリンさん作曲のメイン テーマが余りにも有名で御座いますが、IMF ( インポッシブル ミッション フォース ) 所属エージェントが無理難題に挑戦するストーリーながら、“ブリーフケースから取り出した部品のみ”でそそくさとヘリコプターを作ってしまったりと、今にして思えば著しくリアリティーに欠けた“とんでもない破壊力の珍作”でもありました。

そこで『 スパイ大作戦 』の“新解釈による再構築”に挑んだのが、以前からプロデューサー業に前向きだった俳優のトム クルーズさん率いる 「 クルーズ / ワグナー プロダクションズ 」で御座います。因みに、トム クルーズさんは私と同じ年齢なので、同様な『 スパイ大作戦 』熱中子供時代を過ごしたと思われます。

 

そーやって生まれた第1弾『 ミッション : インポッシブル  1996 』は、未だに“艶やかさと高級感”で特出しておりますので、最新作を御覧になるお方は是非とも“予習拝観”して頂きたい逸品かと……………

 

 

『 ミッション : インポッシブル  / ブライアン デ パルマ監督  1996 』

“おフランスの名花”エマニュエル べアールさんビューティー劇場。もはや“下手な英語のセリフまわし”が、どっかに飛んで行ってしまうレベルの凄まじさ。)

 

 

エマニュエル べアールさん ( Emmanuelle Béart : フランス , 1963〜 )

 

 

ところで、変態オッサンが考える「 スパイ映画 5大要素 」は……………

❇ 1 ) 美しいヨーロッパの街並み。

❇ 2 ) 美しい女性。

❇ 3 ) 美しい銃撃戦。

❇ 4 ) 美しいカー チェイス。

❇ 5 ) 美しい騙し合い相関図。

 

 

『 ミッション : インポッシブル 』シリーズは上記全てを兼ね備えておりますが、最大の魅力は“超一流スタッフによる娯楽大作にも拘らず、そこはかとなく漂うB級の香り”……………

コレに尽きるかと思います!

 

 

 

『 Mission : Impossible ー Fallout ( 2018 ) ー Official Trailer 』

本作品もBMWさんタイアップにつき、BMW嫌いの方は御覧にならない方が宜しいかも知れません。)

 

 

『 MISSION : IMPOSSIBLE ー FALLOUT / クリストファー マッカリー監督  2018 』

❇ 2018年8月3日(金曜日)、全国一斉ロードショー予定。

 

 

 

 

 

( 画像は全てネットから拝借。)

イメージは雄弁に語る ……

1980年代、パリでのお話。

TVで拝見したPORSCHEさんCMに、思わず目が釘付けになってしまった私……………

 

ソノCMは、高速走行する『 PORSCHE 911 』の激しく揺れる“リヤ ウイングのみ”をクローズアップで捉えており、ナレーションもBGMも文字情報も一切無し。当時は空冷式だった『 PORSCHE 911 』の乾いたエンジン音だけが大音量で響き渡り、最後に画面がブラック アウトすると、中央にシンプルな字体で“PORSCHE、誰にも似ていない”と表示されました。

渡仏前に自動車メーカーさんCMを何度もやらせて頂きましたが、我が国の自動車メーカーさんCMは、どちらかと云えば俳優さんをメインとした作品や、スペック等のアピール ポイントを説明する作品が殆どでありました……………

“イメージのみ”で完結した上に、“PORSCHE”と云う自動車メーカーの特徴を充分に表現したコノ秀逸なCMは、私にとって正にエポックメイキングな企業広告で御座いました。

 

帰国後に某自動車メーカーさんスタッフとお酒を御一緒した席で、例の『 PORSCHE 911 』CMについてお話をしましたら、広報のお方曰く「ウチもヨーロッパ向けCMでは“イメージ寄りの作品”を展開しておりますが、国内向けCMでソレをやってしまうと、株主さんや下請け企業さんから“もっと分かり易いCMを作って欲しい”と言われてしまうんですよ。」との御言葉……………

ジャパンとヨーロッパでは広告を取り巻く環境が著しく違いますし、世界的なCM(広告)コンペティションに於いて、見事にグランプリを獲得したジャパニーズCM(広告)も数多く存在致します。よって双方を単純に比較して云々するべき事柄では御座いません。但し“自動車CM”に関する限りは、俳優さんの魅力を前面に押し出したり、あるいはアピール ポイントを詳しく説明するジャパニーズCMを見慣れた方々にとって、ヨーロッパ自動車メーカーさんCMは、極めて新鮮に感じられるかと思います。

そこで本日は、そんな“イメージCM模範例”を御紹介致します……………

 

『 PORSCHE 911R 』

時代は随分と変わりましたが、やはりPORSCHEさんCMのインパクトは相変わらず鮮烈であります。特に“宇宙一強力なブレーキ”と呼ばれるストッピング パワーと、“RR(リヤエンジン、リヤドライブ)”のメリットを最大限に発揮したロケットスタートにより、『 PORSCHE 911R 』の魅力を巧みに表現した作品で御座います。

 

『 Mercedes-Benz SLK 』

ニコ ロズベルグさん(元F1 ワールド チャンピオン)を起用した本作品は、“映画仕立ての艶っぽい演出”を用いながら、運動性能上最大の基本である“走る、曲がる、止まる”をスタイリッシュに表現しております。

 

『 BMW M4 』

ジャパンだったら間違いなく“危険運転を誘発する”との理由で、大問題となってしまう“誠にスキャンダラスな作品”で御座います。過去に当ブログでも取り上げましたが、BMWさんは今やAppleさんと並ぶ“世界で最も進歩的な企業”の感があり、豪華絢爛な製作陣を使ったショート ムービーやユーモラスな広告写真のアプローチを見る限り、“表現力とイメージングに長けた企業の代表格”と言っても過言ではありません。

 

 

 

結局のところ、詳しく説明するよりも“イメージ”で五感に訴えた方が、ポリシーがより明確に伝わるのが自動車(特にスポーツカー)広告であると、改めて実感した訳でありますが、“ブランド イメージを決定するのは、企業側ではなくお客様(消費者)側である”点をPORSCHEさん、Mercedes-Benzさん、BMWさんは良〜〜く解っていらっしゃるんだと思われます。

 

ところで以下の広告は、2014年にケッコー話題となったBMWさん広告であります。

“パチモン(BMVV)ではなく、BMW純正パーツのみ御使用下さい”というメッセージを、“遊び心満載”で表現した実に愉快な企業広告かと……………

 

 

最後に、BMWさんへ変態オッサンから“切実な御願い”が御座います!

“純正パーツのお値段”を、もーチョットお安くして頂けませんか?……………

 

 

 

 

( 写真は全てネットから拝借。)

デザイン新時代 ……

1970年代〜1980年代はピニンファリーナ ( Pininfarina : 1930〜 )、ベルトーネ ( Bertone : 1912〜 )、イタルデザイン ( Italdesign : 1968〜 )etc.所謂“イタリアン カロッツェリア全盛期”でありました。当時のカロッツェリア(イタリア語で「 高級馬車 」の意)は自動車のデザインを主として、場合によっては自らボディーを製造したり、他メーカーで製造されたシャーシにボディーを架装したりと、高級自動車生産に於ける最も重要なパートを担っておりました。

よってカロッツェリア エンブレムは、自動車メーカー エンブレム以上に誇らしげに輝き、“何処のカロッツェリアでデザインされたか?”が、車の極めて重要なステータスを決定していたので御座います。

 

 

時代は変わって、ピニンファリーナさんは2015年“インド大財閥”マヒンドラ グループに買収され、ベルトーネさんは2009年“イタリア最大手自動車メーカー”フィアット グループに買収され、イタルデザインさんは2010年“世界最大手自動車メーカー”フォルクスワーゲン グループに買収されてしまいました。

因みに、買収自体は別にネガティヴ ファクターではなく、むしろ進歩的(発展的)ファクターと捉える事も出来ますが、問題は“自動車業界に占めるデザインの役割”が、以前に比べて大きく変化した点にあるかと思われます……………

御存知の様に、自動車はエンジンを主軸に排気系、電気系、その他膨大なパーツで複雑に構成されております。特に高性能スポーツカーを設計する際には、エンジン レイアウトや空力特性のプライオリティー故に、デザインは事前にある程度決まってしまいます。つまり外部のデザイン専門機関に委託するよりも、“コンセプトを熟知した社内デザイン部門”でデザインするメリットが、1970年代〜1980年代に比べて大幅にアップしたのであります。

 

特に顕著な例として挙げられるのは、ランボルギーニさんとBMWさんのデザイン アプローチで御座います。

とりわけ2000年以降のBMWさんは、ヒジョーに“攻めたデザイン”が特徴であり、モーターショーで発表したプロトタイプ等を“殆ど変わらぬデザイン”で市販車として発売し、世界中の“ビマー ( Bimmer : BMW愛好家の総称 )”から圧倒的支持を受けております(以下引用)。

 

 

【 BMW i8ロードスターはLAで正式デビュー! 】( LE VOLANT CARSMEETweb )

BMWはロサンゼルス・オートショー2017において、プラグインハイブリッドスーパースポーツの新型「BMW i8ロードスター」をワールドプレミアするとともに、フェイスリフトを受けた「BMW i8」を発表した。市場導入は2018年5月からを予定している。

プラグインハイブリッドシステムは、1.5リッター直3ターボエンジン(231ps/320Nm)とモーター(143ps/250Nm)の組み合わせにより、システム出力374psを引き出す。0-100km/h加速4.6秒をマークするi8ロードスターは、15秒でルーフの開閉が完了するほか、50km/h以下であればルーフ開閉操作が可能だ。EV後続距離は53kmで、ハイブリッド燃費は47.6km/L。なおEV時の最高速は120km/hをマークする。( 2017年12月6日 )

『 BMW i8 オフィシャル プロモーション ムービー  2017 』

 

 

プラグイン ハイブリッド システムとエアロダイナミクスを最大限に活かして、かつインパクト強大のスタイリッシュ デザインに昇華するのは、外部のデザイン専門機関では実現不可能であり、正に“社内デザインの傑作”と呼びたい魅力的なプロポーション!

 

 

ところで、BMWさんの全車種が“重量配分(前後比) 50:50”を実現しており、自動車評論家の方々が「FRでもBMWだけは決してケツを振らない。BMWでケツを振るのは、“安いタイヤを履いている証拠”だ。」と仰いますが、ソレは飽くまでも“乾燥路面”でのお話……………

私は“1998年製 BMW Z3”を愛用しております(冬タイヤはBRIDGESTONE装着)。

例年よりも寒さがヒジョーに厳しい本年のHOKKAIDO。路面は常に“スケートリンク状態アイスバーン”であります。

 

したがって、毎日の様に“ケツを振りまくって走行中”の変態オッサンで御座いました……………

 

 

 

 

( 画像1〜9は全てネットから拝借。画像10は自身のインスタグラムより。)

秀逸なイメージ戦略 ……

突然で御座いますが、以下のタイトルとキャストを御覧になって、コレが一体“何の映画シリーズ”かお判りになるでしょーか?……………

 

1 ) 『 Ambush 』監督 : ジョン フランケンハイマー , 出演 : クライヴ オーウェン、トマス ミリアン他

2 ) 『 Chosen 』監督 : アン リー , 出演 : クライヴ オーウェン、メイソン リー他

3 ) 『 The Follow 』監督 :  ウォン カーウェイ , 出演 : クライヴ オーウェン、ミッキー ローク他

4 ) 『 Star 』監督 : ガイ リッチー , 出演 : クライヴ オーウェン、マドンナ他

5 ) 『 Powderkeg 』監督 : アレハンドロ ゴンザレス イニャリトゥ , 出演 : クライヴ オーウェン、ステラン スカルスガルド他

6 ) 『 Hostage 』監督 : ジョン ウー , 出演 : クライヴ オーウェン、モーリー チェイキン他

7 ) 『 Ticker 』監督 : ジョン カーナハン , 出演 : クライヴ オーウェン、ドン チードル他

8 ) 『 Beat the Devil 』監督 : トニー スコット , 出演 : クライヴ オーウェン、ゲイリー オールドマン、ジェームズ ブラウン他

( 以上2001年〜2002年公開作品 )

9 ) 『 The Escape 』監督 : ニール ブロムカンプ , 出演 : クライヴ オーウェン、ダコタ ファニング他

( 2016年公開作品 )

 

 

監督、キャスト共に“宇宙規模の豪華絢爛さ”である点にお気付きになったお方は、おそらく映画会社又はTV局による“◯◯記念プロジェクト”では?とお考えになったかと思います……………

実は、全てBMWさんのプロモーション用“ショート ムービー(ロングCM)”『 THE HIRE 』シリーズであります。ネット配信etc.で公開された上にDVDも発売されておりますが、何れの作品もYouTubeで簡単に拝観可能であります。

( 因みに私のお気に入りは、トニー スコット監督による『 Beat the Devil 』で御座います。)

 

 

全編に共通したストーリーは、クライヴ オーウェンさん扮する“高級雇われ運転手”が、毎回“極めて特別なお客様”を目的地まで送迎致します。コレだけ聞いたら「リュック ベッソン『 トランスポーター 』のパクリじゃねーの?」と仰るお方も居るかと思われますが、失礼ながらリュック ベッソンさんプロデュース作品よりも、遥かにエキサイティングであります……………

最大の特徴は、自動車メーカーのプロモーション フィルムにも拘らず、御自慢のお車が毎回“銃撃でボロボロ”になってしまう点でありますが、下手な映画よりも遥かに多額の製作費を費やし、超一流監督及び俳優を起用した結果、脚本、映像、演出、選曲全てが高次元で結晶した“娯楽大作シリーズ”が完成したので御座います。

 

BMWさんは、ソノ長い歴史の中で“BENZさんよりもカジュアルでAUDIさんよりも重厚”という、悪く云えばケッコー中途半端なポジションにあり、加えて60〜70年代はセダン タイプの所謂“ハコ車”に於ける高速安定性能を追求するあまり、車体デザイン並びに企業イメージがヒジョーに地味でありました。

しかしながら近年は、かの“ポップアートの帝王”故アンディー ウォーホールさんに“お値段数千万円の「 M1 」”をキャンバスとして提供したり、トム クルーズさんがプロデューサーも兼ねる『 ミッション インポッシブル 』シリーズや王道スパイ映画『 007 』シリーズとタイアップして、映画を新車発表ツールとして上手く活用したりと、現在では“アーティスティックでファッショナブルな企業”の代表格となりました。

 

⬆ “アートカー製作中”の故アンディー ウォーホールさん ( 1979年 )

 

昨今ではあらゆる企業がアート シーンやファッション フィールドとの融合を模索しておりますが、BMWさんの様に上手く取り入れる事が出来れば、企業イメージは格段とアップ致しますし、自動車に興味が無い方々からも注目される訳であります。但し、企業側にレベルの高い“文化意識と芸術的センス”が無ければBMWさんにはなり得ないかと……………

 

ところで、変態オッサンの愛車は1998年製「 BMW Z3 」で御座いますが、毎年5万円〜10万円の修理代を飲み込んでくれます。つまり“ジャーマン3 ( BENZ、BMW、AUDI )は壊れない”という世界的神話は、飽くまでも“新車購入後一定期間”のお話であり、旧車の場合は“フツーに壊れます”のでくれぐれもお気を付け下さいませ!

 

⬇  最新作『 The Escape 』ニール ブロムカンプ監督 ( 2016年 )

 

( 画像は全てネットから拝借。)