我が国ではCASIOさんの『 G-SHOCK 』に代表される“ソーラー電波式リスト ウォッチ”がスッカリ定着した感があり、よって5〜6年に1度の電池交換さえ行えば、誰もが“1秒の誤差もない正確な時間”を手に入れられる環境にあります。
今後もタイムピース(主にリスト ウォッチ)は、より“多機能なケアレス ツール”に発展すると予測されますが、例えどんなに「 EV ( 電気自動車 ) 」が進化発展を遂げても「 クラシックカー 」の魅力が失われないのと同様に、機械式(自動巻及び手巻き)リスト ウォッチは、永遠に色褪せる事なく輝き続けると思われます。何故ならば“アナログ機械の魅力”は、人間の五感を刺激する“ある種の魔力”を秘めているからで御座います。
ところで皆さん、「 複雑時計 ( 又は複雑機構時計 ) 」という言葉を御存知でしょーか?……………
基本的には、以下の3点が“複雑時計3大機構”でありますが、内2機構以上が搭載されたリスト ウォッチは、“グランド コンプリケーション ウォッチ”と呼ばれております。
✳ 1 ) 永久カレンダー ( Perpetual Calendar )
“閏年や31日未満の月”を、機械が勝手に自動調整してくれる機能。
✳ 2 ) ミニッツリピーター ( Minute Repeater )
ボタンを押すと“時間や分”を鐘の音で知らせてくれる機能。
✳ 3 ) トゥールビヨン ( Tourbillon )
重力脱進機を常時回転させ、時計の“姿勢差によって生じる誤差”を最小限に抑えてくれる機能。
上記は何も“1700年〜1800年代に必要とされた技術”でありまして、現在は“数千円のデジタル ウォッチ”であっても、3大機構無しに極めて高精度かつ多機能をアッサリ実現しております。但し、そんな現代だからこそソノ様な“特殊技術”は、時計メーカー(時計職人)さんにとって重要アピール ポイントなので御座います。
実は、全てアブラアム ルイ ブレゲ ( Abraham – Louis Breguet : スイス , 1747〜1823 )先生の発明でありますが、特にトゥールビヨンに関しましては、製作可能な職人さんが“世界に十数人しか存在しない”と言われており(“ジャパンが世界に誇る”浅岡 肇さん含む)、別メーカーからリリースされた違う作品であっても、製作した職人さんは同一人物である場合が多く、当然ながら“トゥールビヨン搭載リスト ウォッチ”は、殆ど天文学的お値段になってしまうのであります。
( 因みにアイ キャッチ画像の懐中時計は、そんなブレゲ先生が何とマリー アントワネットさんの御注文で製作したものの、完成時には注文主さんが既に断頭台で処刑されており、残念ながら納品出来なかった“悲運の懐中時計”『 BREGUET : Marie Antoinette No.160 ( 1827 ) 』を、最新技術で忠実に再現した『 BREGUET : Marie Antoinette No.1160 ( 2008 ) 』)
『 BREGUET : 5347BR / 2A / 9ZU , クラシック グランドコンプリケーション ダブル トゥールビヨン 価格未定 』
『 BREGUET : 7087BR / G1 / 9XV , トラディション ミニッツリピーター トゥールビヨン ¥53,870,400 』
『 PATEK PHILIPPE : Ref.5175 ¥309,000,000 』
『 PATEK PHILIPPE : 5016A ¥900,000,000 ( ❇ 某オークションにて、俳優ブラッド ピットさんが落札 ) 』
“FERRARIさん”どころか……………
『 FERRARI : LA FERRARI ( ラ フェラーリ ) 約 ¥200,000,000 』
“BUGATTIさん”が軽〜〜く買えてしまうコノお値段。
『 BUGATTI : CHIRON ( シロン ) 約 ¥350,000,000 』
しかも宝石を散りばめた派手な装飾は一切無し、つまり純粋に“複雑メカの技術代”なので御座います!
更に近年、PATEK PHILIPPEさんやBREGUETさん等の所謂“雲上トラディショナル メーカー”ばかりではなく、カーボンファイバー、チタン、化学繊維を斬新にフィーチャーした“新進アヴァンギャルド ブランド”も登場致しました。
高級宝飾デザイナーだったリシャール ミル ( Richard Mille : フランス , 1951〜 )さんが、2001年スイスに創設したRICHARD MILLE。
コンセプトはズバリ“腕時計のF1”。偉大な有名アスリートが商品名となっております。
『 RICHARD MILLE : RM53-01 , パブロ マクドナウ ¥110,484,000 』
『 RICHARD MILLE : RM70-01 , アラン プロスト ¥101,520,000 』
『 RICHARD MILLE : RM27-03 , ラファエル ナダル ¥96,120,000 』
東京に住んでおりました頃、何度かPATEK PHILIPPEさんetc.製トゥールビヨンを“腕に当てさせて頂いた経験”がありますが、重力脱進機が回転する様子は誠に圧巻で御座いまして、まるで腕に“小宇宙が出現したかの如き興奮”と、文字盤に吸い込まれる“不思議な感覚”を今でもハッキリと覚えております……………
正に、世界中でも“選ばれし極一部のお方”しか所有出来ないハイパー リスト ウォッチ。
しかしながら、ショップで手に取る権利は“世界中全ての人間”にあります。
“天才職人さんの超絶技法”を、是非とも御自分の五感で感じ取って頂きたいと思います。
『 PATEK PHILIPPE : Ref.5216 / webChronosTV 』
ところで変態オッサンは、かつてBREGUETさんの“数少ないステンレス製エントリー モデル”を所有しておりましたが、破産廃業により手放したのは云うまでもありません……………
( 画像は全てネットから拝借。)