黄金比 ……

1970年代、私が中学生だった頃のお話。

父親の知人(札幌在住)が「 TOYOTA  2000GT 」を所有しておりました。全世界でたった220台しか発売されず、最近のアメリカ オークションに於いては度々“オーバー1億円”で落札されている、正に我が国が世界に誇る“幻の名車”で御座います。

クルマ好きだった私は、父親を通して熱心に頼んだ結果、夏休みに1度だけ乗せて頂ける事となりました。

そもそも「 TOYOTA  2000GT 」はエンジン製作、内外装デザインその他を終始YAMAHAさん主導で敢行されたプロジェクトであります。故にYAMAHA(日本楽器)さん手作業によって磨き上げられたウッドパネルは誠に美しく、何もかもが当時の他ジャパニーズ カーと比べて、明らかに“ケタ違いのスーパー スポーツカー”でありましたが、パーキング ブレーキが甘くて(本来の特長なのか個体差なのかは不明)、坂道に駐車する際にはオーナーのお方が必ず前輪を斜めにしていたのと、クルマ全体のイメージに対して“タイヤが細くて貧弱だった”のを、今でもハッキリと覚えております……………

 

 

「 TOYOTA  2000GT , 1967〜1970 」

 

 

唯一のジャパニーズ ボンドカー、最高速度 世界記録更新etc.といった華々しい栄光は、今更説明の必要もないかと思われますが、中学生だった私の記憶に刻まれたのは、野崎 喩(ノザキ サトル)さんデザインによる、何とも美しい“ロング ノーズ&ショート デッキ”プロポーションでした。

FR(フロント エンジン リヤ ドライブ)レイアウトがポピュラーだった時代、ソレは“スポーツカーを象徴するシルエット”だったのであります。

 

 

「 FERRARI  365GTB/4 ( デイトナ ) , 1969〜1973 」

 

 

ソノ後、スーパー スポーツカーはMR(ミッド エンジン リヤ ドライブ)レイアウトがポピュラーになり、残念ながら“ロングノーズ&ショート デッキ”プロポーションは次第に姿を消してしまいました……………

 

ここで、軽〜〜くオサライさせて頂きます。

 

MRレイアウトが運動性能上ヒジョーに有利であるのは、F1に代表されるトップ カテゴリーのレーシング カーが、おおむねMRレイアウトを採用している点でも明らかでありますが、実際に“シャシーのド真ん中”にエンジンを搭載したならば、ドライバーの居場所がありません。つまりMRの定義は、エンジン大部分(50%以上)が“後輪より前に配置されている”のを意味致します。

という事は、エンジン大部分が“前輪より後ろに配置されている”のと、重量バランスは大差ない訳であります(所謂“フロント ミッドシップ ”)。

因みにコノ“フロント ミッドシップ”という発想は、Mercedes-BenzさんとBMWさんが長年パワー プッシュしている方式で御座います。

 

確かにMRレイアウトは、何にも変え難いハンドリングを実現してくれますが、結局のところは“好みの問題” であり、むしろ昨今のスーパー スポーツカーはFRレイアウトに回帰する傾向が御座います……………

 

 

「 ASTON MARTIN  One-77 , 2010〜2011 」

「 FERRARI  F12 berlinetta , 2012〜 」

「 Mercedes  SLR Stirling Moss , 2009〜2010 」

 

 

余談でありますが、変態オッサンの愛用車「 BMW Z3 」もFR“ロング ノーズ&ショート デッキ”の部類に入ります。

購入直後は、公共駐車場のタイヤ止めにフロント スポイラーをゴリゴリ擦りましたが(DIY塗装済み)、取り回しに慣れてしまえばノー プロブレムであります。

 

 

最近は“寒くても無理してオープン走行”、レトロ ビューティーな「 BMW Z3 」。

 

 

やはりスポーツカーにとっては、“ロング ノーズ&ショート デッキ”が黄金比であり、永遠に色褪せない“理想プロポーション”なのでは?……………

 

人間に例えるならば、“脚がキレイで魅力的な女性”だと私は考えます!

 

 

最近は“TV、雑誌、ファッション ショーで大活躍”、ヘルシー ビューティーな朝比奈 彩 ( アサヒナ アヤ ) さん。

 

 

ところで、1985年にパリのアパートを一旦引き払って帰国する際に、お世話になった方々の挨拶廻りをしておりましたら、コンコルド広場で赤の「 TOYOTA  2000GT 」を拝見致しました。

「 TOYOTA  2000GT 」の希少性を考えれば、もう2度とお姿を見る機会はないでしょう。

 

まるで“札幌で知り合った女性にパリで再会”した気分で御座いました……………

 

 

コンコルド広場 ( Place de la Concorde 75008 Paris , France )

 

 

 

 

 

( 写真1〜9、11、12はネットから拝借。写真10は自身のインスタグラムより。)