フランス人とフランス語とフランス車 ……

1985年春のお話で御座います。

若干23歳だった好青年(現変態オッサン)が、溢れんばかりの夢と希望とヤル気を抱えて、花の都パリに渡ったのであります。1年半程ヘア アシスタントとして修行しながらも、時折は自らもヘア ドレッサーとしてお仕事をさせて頂きました。当時“モード界の頂点”に君臨なさっていたデザイナーの高田 賢三さんにお世話になったり、著名な女性ファッション フォトグラファーのサッシャ(Sacha)さんにお世話になったりと、一生涯忘れられない誠に貴重な経験をさせて頂いたので、故にパリ(フランス)は“私の人生に於ける先生”と言っても大袈裟ではなく、正に“世界で唯一の特別な街”になったので御座います。

80年代のフランスには、正直なところ“それなりの人種差別”が確実に存在致しました。例えばクリーニング店、肉屋、郵便局etc.で私が列に並んでいても、私より後ろの白人さんが先に呼ばれたり、プライベートでフランス系のエアラインを利用すると、食事の際に私には「肉と魚どちらに致しますか?」と尋ねてくれなかったりといった具合であります……………

しかしながら60年代、70年代に渡仏されたジャパニーズの先輩方は、おそらく更に何倍もの御苦労に耐えて、そして“パリのジャパニーズ”として、現地にしっかりと根付いたパリ ライフを満喫していらっしゃいました。そもそも人種、宗教、文化の異なる人間が同じ国で暮らすからには、世界観の相違による衝突は当然でありますし、それらを総括して“異国アナザー ライフの醍醐味”ではないかと考えます。

但し、私が仕事、プライベートを通して痛感致しました「 フランス人(正確には“パリのフランス人”)3大特徴 」は以下の通りで御座います。

✳️ 1 ) 決して己の非を認めない。

✳️ 2 ) 決して他人の主張に耳を傾けない。

✳️ 3 ) 決して自分の手は汚さずに他人を貶める。

どんなお国(街)であっても、“実際に住んでみなければ判らない良い点並びに悪い点”は必ずありますが、私にとって上記の3点は誠に耐え難い苦痛として全身を蝕み、やがてパリは“私の人生に於ける先生”であると同時に、“2度と住みたくない街世界一”というダブル タイトル ホルダーとなってしまいました……………

 

因みに、私が今現在“ヨーロッパで最も気に入らないオバサン”が、そんなパリで今話題になっていらっしゃいます。ソノお方はフランス政党「 国民戦線 」党首であるマリーヌ ル ペンさん(48歳)で御座います(以下引用)。

 

【 フランス大統領選「ルペンの乱」起きるか、リスクに備える仏銀行 】(Newsweek)

フランスの銀行は、4月の同国大統領選で極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が予想以上に善戦し、信用収縮や取り付け騒ぎなどの波乱に見舞われるリスクを想定した準備を迫られている。ルペン氏は、自分が勝利すればユーロ離脱(フレグジット=Frexit)を問う国民投票を実施し、中央銀行の紙幣増刷により財政支出を賄い、商業銀行に小規模企業への貸し出しを義務付け、銀行が顧客に課す手数料を半分に削ると約束している。

世論調査によると、4月23日の第1回投票ではルペン氏が得票率25─30%で第1位となるが、5月7日の決選投票では中道系独立候補のマクロン前経財相が勝利する見通しだ。(2017年4月5日)

 

取り越し苦労で済む事をお祈り致しますが、「 イギリスのEU離脱 」「 アメリカのドナルド トランプ大統領誕生 」という歴史的番狂わせを考えますと、コノお方が次期フランス大統領に御就任される可能性大かと思われます!

私が危惧しておりますのは右派、左派云々ではなく、ドナルド トランプさんやマリーヌ ル ペンさんの様な、謂わば“激情的ナショナル リーダー オールスターズ”による国際政治のシナリオであります。チョット考えただけでもヒジョーに疲れます。どちらかと云えば“コンサバ冷静路線”のフランス銀行でさえ、どーやら今回は私と同様の御心配をされている事からも、ソノ重大性が御理解頂けるかと……………

 

ところで、パリ時代の私にはギリシャ系フランス人の“大師匠”とジャパニーズの“師匠”がおりましたが、1986年秋に帰国するに当たり、御二人から「1年半住んでみて、君にとってパリは如何なものだったかね?」と尋ねられました。

私は「パリ モードは大好きですが、フランス人とフランス語とフランス車は嫌いデス。」とお答えしたのを、何故か今でもハッキリと覚えております……………

 

 

( 写真は全てネットから拝借。)